小売業の売上原価について〜創業時には最低限の簿記の知識が必要

ネットショップを開業する方の相談を受けていて、「先生、売上原価って何ですか?」と聞かれました。説明したのですが、「面倒なことは会計ソフトにやらせる」ということでした。

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↑ 全仕入金額から期末の残高を引いた分が「売上原価」です

売上原価について

小売業は、商品を他から仕入れてきて販売します。シンプルに説明すると、売上原価は販売した製品の仕入れ値になります。

ただ、通常は1年を通して多くの仕入や売上が発生しますので、簡単には「期首製品残高+当期仕入−期末製品残高」で求めます。式で書くより、上の図の方が分かりやすいと思います。

 

売上原価の重要性

小売業は売上の基礎になるのが仕入です。したがって、いくらで仕入れて、いくらで販売しているのかを把握することは非常に重要です。価格の変動がそれほどないものであれば、前述のようにトータルで押さえれば良いのですが、古物のように1個ずつの価格が違うものについては、個別のもうけを把握する必要があります。

 

中古車の場合

1個ずつの価格が違い、高価な製品と言えば、宝飾品や中古車になります。宝飾品は消費者にとって個々の価格が分からない部分がありますが、中古車はインターネットをざっとながめれば、その車の相場価格を把握することができます。

価格がある程度出ていることから、車を買い取るときには「もっと高く買って」と言われるし、販売するときには「もっと安く」と言われてしまいますので、車ごとに利幅を確保した上で商談していかないと、利益の確保が難しくなります。

 

全体でカウントするときは棚卸しが必要

売上原価を把握する前提として、手元の在庫がどの位あるかを把握していなくてはなりません。そのために行うのが棚卸しです。売り場の中、バックヤードにどれだけ商品があるか、実際の数を数えます。もちろん、帳簿上でも管理をします。

ただ、万引きなどによって、管理している数よりも実際の数が少なくなってしまうことは十分にあり得ます。その場合は「棚卸減耗費」として費用計上します。

 

会計ソフトだけに頼らない

こういったことは、理屈を知った上で、会計ソフトなどで管理するべきです。逆に、仕組みを知らずにソフトに頼っていると、イレギュラーが起こったときに対応できません。

売上原価に関する部分は簿記3級の基本の「き」になる部分です。簿記の資格を取る必要はありませんが、仕組みだけは知って置いても良いでしょう。

 

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私、山下哲博は店舗ビジネスの発展支援と資金調達サポートを強みとする、小規模事業者向けのビジネスコンサルタントです。

・補助金や事業計画のサポート

・売上増加につながるご支援

難しいことを分かりやすく、経営者の右腕になるべく帆走型のサポートを行っています。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

あとがき

今晩は半年がかりで取り組んでいたプロジェクトの打ち上げでした。事業承継の分野で実務に役立つ冊子を作成しています。