訪日客の増加によって、東京・大阪・福岡・札幌などの大都市の宿泊施設が軒並み満室になってしまい、出張のビジネスマンが苦労しているようです。これは、施設型サービス業の収支を考えると必然ともいえますので、そのあたりを解説します。
施設型サービス業の収支モデル
ホテルは最初に土地・建物と大きな投資が必要になります。土地の取得から建物を建てて営業するまでに最低でも1年はかかるのです。そして、開業前から従業員を雇用して、サービスレベルについてのトレーニングが必要です。
そして、開業後については、最初から満室になることはありません。既存のホテルなどが営業している中に割り込んでいくので、今みたいにホテルが足りないという状況なら「他が取れなくて」というお客様はいるかもしれませんが、選択肢としては後になってしまうでしょう。
一方、ホテルの稼働率が良くても悪くても、従業員の人件費が掛かります。土地を賃借しているなら地代家賃もかかってしまいます。そのため、安定して集客できるようになるまではお金を持ち出している状態が続きます。一昔前に、バブル期に立てた旅館の破綻が相次いだのは、投資にお金をかけたものの、想定どおりに集客できず、黒字化できずにクローズに追い込まれたからです。
上の図でも示しましたが、売上の多少に関わらず、固定費が常に出ていく状態です。
施設型サービスのフランチャイズ
施設型サービスとして、最初に初期投資が必要になるのは日帰り温泉、ゲームセンター、複合カフェ(漫画喫茶)、カラオケなどのレジャー施設などです。こういった施設は、施設の優劣が集客の大きな要因になりますので、どうしても初期投資にお金を掛けがちです。
ホテルについても、ここ1,2年は稼働率が良いのですが、その前は東日本大震災があり、リーマンショックがありでホテルの稼働率は低迷を続けていました。海外からの誘客についても、観光庁が発足されて国策として取り組んでいましたが、直接的な要因はアベノミクスによる円安誘導によるもので、急に訪日客が増えました。先ほど述べたように、ホテルは開業するまでにどうしても時間が掛かりますので、今はホテル不足になってしまったということです。
今後ですが、東京オリンピックまでは訪日客も増えていくでしょうし、国内の経済も活発なためにホテル需要が逼迫していくのは必至です。ただ、2020年以降は高齢化の進展によって、生産力人口が減少していきます。訪日客は浮き沈みもありますので、アテにしすぎるにはリスクがあります。
そのため、今後もしばらくはホテル不足が続くということになりそうです。私自身も出張が決まったらすぐに宿を押さえるようにして自衛しています。
あとがき
それにしても訪日観光客が増えましたね。渋谷のハチ公前の交差点では外国人が歩行者がクロスして横断しているのを面白そうに撮影しています。新宿のドラッグストアでは中国人専用のレジが出来て長蛇の列を作っています。