補助金を活用できる事業者は限られる?

この7,8年ほど、補助金事業が毎年予算化されてお手伝いさせていただいております。ただ、事業者さんによっては、やんわりと補助金申請しない方が良いというアドバイスをすることも多いです。

補助金をもらうためには「資金調達」が必要

お金が欲しいので補助金申請したいという相談を受けるのですが、実際には補助金をもらうために資金の確保が必要になります。

というのは、補助金をもらうためには設備などへの投資が必要になります。投資をするための資金を確保する必要があります。今現在、事業が思わしくない状況で、資金の確保がままならない状況では投資ができないので、補助金を請求することができないのです。

実際、補助金に申請して、採択されても、資金がなくて投資できないというケースが発生しています。

補助金入金まで

補助金というとすぐにもらえるイメージがあると思いますが、実際にはこちらでお手伝いしてから入金まで1年くらいかかっています。
例えば、下のチャートは事業再構築補助金の流れですが、いつもご説明している内容を挙げてみます。

↓事業再構築補助金の流れ

1.採択→交付決定

採択は事業計画を申請して、計画の出来が評価されて選ばれることです。
交付決定は、事業計画に伴う補助金支出の内容が認められることです。

現在募集されている「事業再構築補助金」は例外ですが、通常は交付決定しないと設備などの発注はできません。

通常、採択に至るまで、事業計画の作成などがありますので2か月くらいかけて準備して申請し、選考にも2か月くらいかかります。更に、採択後、交付決定するまでにも2か月くらいかかるので、半年かかります。

2.設備投資

交付決定されたら、見積書を複数社に依頼し、安い方に発注しなくてはなりません。そして、今は発注から納品まで時間がかかっている設備も多いので、実際に設備が到着するまで時間がかかっています。発注して、実際に設備を設置しないと補助金支払いの対象になりません。

3.完了報告、請求

補助金の請求を行う分の投資が済んだら、完了報告を提出します。その後、設備が申請通りに納品され、設置されたことを完了した後に補助金事務局の確認を受けます。それが全部終わってから補助金の請求を行い、後日入金されます。

補助金事業に着手してから交付決定まで半年かかり、それから発注して納品され、完了報告、請求と進むので1年はかかってしまいます。

一方、補助金事業が採択されたら設備投資などを行うことを前提に金融機関に説明し、投資資金の融資について内諾をもらっておかないと、投資資金が無くて補助金事業を推進できないという事態になるのです。

補助金事業、当社のスタンス

補助金申請をしてみたいという問い合わせを受けても、お話を聞いて、資金の確保が難しそうだったり、設備投資分を回収できそうにない場合はお断りしています。

実際、採択されても資金調達できなくて事業を進めることができない場合は、補助金申請にかける労力がムダになってしまうからです。

補助金の申請に使う事業計画については、こちらで「作文」することはできますので、採択されやすいように数字を見栄え良くすることはできますが、実態を無視した計画を建ててミスリードすることは避けたいので、事業者さんにはこちらの考えをお伝えして辞退してもらうようにしています。

といっても、こういったことはお話を聞いてアドバイスしますので、必要があればご相談ください。

 

《あとがき》

住宅ローンを抱えているので、最近の金利上昇に関する報道に対して敏感になっています。金利のことで一喜一憂したくないので10年固定にしていたのですが、今年4月に固定金利期間が終わって変動金利に戻ってしまいます。どこまで金利が上がるのやら。