事業再構築補助金 1回目公募結果の概要を掘り下げる

今年の年初から話題になっていた、事業再構築補助金について第1回公募の採択結果が公表されました。応募件数22,231件で有効申請が19,239件、採択されたのは8,016件でした。有効申請に対する採択率は41.6%でした。第1回公募の状況が公表されていますので、掘り下げてみました。

 

公募、採択結果の分析について

今回の再構築補助金の事務局は申請時にサーバエラーを起こしただけでなく、採択発表時にも2時間以上のサーバーエラーを起こしています。また、公募要領に不明な点も多く、何回か差し替えをしていて、申請事業者からの評判は良くありません。

ただ、採択結果については地域別の一覧、全国統合の一覧を公表している他、「結果の概要について」という資料を公表しています。今までの補助金の時よりも踏み込んだ分析がされていました。

→興味がある方はこちら (リンクを貼りました)

分析結果から分かること

分析は表紙を入れて8ページの資料でした。内容は以下の通りです。

応募と採択の件数

上記内容の通りで、通常枠で5,092件採択、緊急事態特別枠で2,859件の採択件数があり、有効申請に対する採択率は通常枠34.4%、特別枠66.3%でした。なお、応募件数に対して通常枠で2,114件、特別枠で852件の書類不備があって有効申請とカウントされていません。

・業種別の応募件数と採択件数

製造業、宿泊・飲食業の応募割合が高いです。製造業が応募者全体の23.2%、宿泊・飲食業が18.0%、卸売・小売業が14.9%で、この3つの業種で56%を占めました。

・都道府県別の応募件数と中小企業に占める割合

全国では中小企業の0.6%が応募、最も割合の高い京都府では1.06%が申請、0.9%以上を占めているのは、東京都、滋賀県、香川県、0.8%~0.9%を占めるのは愛知県、大阪府、奈良県

・都道府県ごとの採択状況

→採択率でみると秋田県(40件、57.1%)、岡山県(170件、52.6%)、高知県(36件、52.2%)が高い

→件数でみると東京都(1,205件、37.5%)、大阪府(752件、39.6%)、愛知県(642件、43.5%)が高い

・応募金額、採択金額の分布

 

→100~1,500万円の少額申請が全体の44%、採択された分の46%を占める。4501万円~6,000万円の高額申請は全体の23%、採択された分の27%を占めている。

・応募金額の分布

→一番多いのは5,501~6,000万円の申請で、その次は500万円までの申請。3000万円を超える申請になると金融機関からも確認書が必要になることから、3,000万円を超える申請は極端に少なくなる。

・認定支援機関別の申請、採択状況

→最も多いのは地銀で3,481件の有効申請、その次は税理士で2,667件、税理士法人2,172件と続いています。

→採択率が高いとされた地銀(採択1,604件、有効申請に対する採択率46.1%)、民間コンサルティング会社(採択875件、採択率47.6%)、中小企業診断士(採択515件、採択率48.9%)でした。

ちなみに、申請が多かった税理士(採択816件、採択率30.6%)、税理士法人(採択727件、採択率33.5%)でした。

公表結果から感じたこと

緊急事態枠の採択率が極端に高い。

→有効申請数に対する採択率は、通常枠34.4%に対し、緊急事態特別枠では66.3%でした。一般枠では3件申請して1件が、緊急事態特別枠では3件申請して2件通るわけで、確実に通すなら緊急事態特別枠といえます。
(自分がサポートしたものでも、緊急事態特別枠のハードルが低いなと感じています。
それについては後日投稿します)

製造業の申請が他業種よりも採択率が高い

製造業は全応募のうち23.2%の割合でしたが、採択事業者の31.7%を占め、大幅にシェアを増やしています。宿泊・飲食サービスも18%から21.8%に増やしていますが、増え方の割合が大きく違います。なお、分析で示されている12の業種の中でシェアを増やしているのは製造業と宿泊・飲食業しかありません。補助金慣れしていて、無効になった応募が少なかったのかもしれませんが、製造業のシェアアップの割合が際立っています。

中小企業診断士の申請は採択率が高い

公表結果では、地銀・中小企業診断士・民間コンサルティングが強いと分析されていました。
実際は、地銀では行内に中小企業診断士ホルダーを抱えていたり、中小企業診断士と連携を取りながら、申請は銀行で行うというパターンが多いです。また、自分もそうですが、民間コンサルティングの中には相当数の中小企業診断士が入っています。
1人で仕事している中小企業診断士でもある程度の会社さんを顧客で抱えていると法人化することが必要になってきます(私もそうでした)。そのため、民間コンサルティングという括りだと実態がみえませんが、中小企業診断士や組織的に活動している士業が多く含まれているのが実際のところです。
事業計画だとこの先の事業に関する目の付け所、新しい事業を成功させるためのポイントについて説得力のある内容で書くことが求められます。認定支援機関でもそういったことに詳しい方にお願いするのが良いかと考えます。

今後の事業再構築補助金申請について

事業再構築補助金は5回の応募チャンスがあると公表されています。1回目が既に終わり、2回目は7月2日締め切りです。
3回目以降が全く公表されていないのですが、3回目、4回目が年内で5回目が年明けでしょうから、3回目締切を9月中旬くらいと予想します。

全く新しいことにチャレンジする補助金になりますので、申請に必要な事業計画書を作るにも時間がかかります。早めの準備を心掛けてください。

あとがき

3月からコンサル、補助金申請、研修、補助金申請と息付く間もない忙しさでした。少し落ち着きましたが、9月に予想される事業再構築補助金締切まではバタバタしていそうです。

まだ余裕ありますので、補助金申請にご興味ありましたらお問い合わせください。