過渡期の東京モーターショー

自動車関連の調査の仕事をすることもあって、東京モーターショーのプレビューに行ってきました。通常は激込みの中を見学しなくてはなりませんが、今回はプレビューチケットを入手できたので、一部ブースを除いては悠々と見学できました。記してみたいと思います。

 

プレビューデー

プレビューは、限定1万枚だけ販売されるチケットを持っていないと入ることができません。本来は出展関係者の招待者や事前登録した身体障害者向けの入場時間なのですが、2年前より限定チケットが販売されるようになりました。

2年前は2時間半だけしか観ることができなかったのですが、今回は14時半から20時までと、時間もたっぷり設定されました。

自分は8月からチケットを買って備えていたのですが、平日でもあるので、予定が入ってしまい、17時半から20時までになってしまいました。

 

人気のコンセプトカー

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モーターショーは市販車も出ていますが、面白いのはコンセプトカー。ここに出ている車が改良されて市販車になります。今回の人気車種はトヨタのS-FR、マツダのRX−VISIONでした。トヨタは小型のFRスポーツで、86よりもコンパクトなクーペです。そして、RX−VISIONはマツダの伝統技術、ロータリーエンジンを積んだスポーツカーでした。トヨタのブースが混んでいるのはいつものことなのですが、プレビューではマツダが一番人気でブースの周りは凄い人だかり。

他には番外編で、ゲームのグランツーリスモとタイアップした車種が日産から出ていて、凄い迫力の車でした。

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主要メーカーの印象(東4〜6ホール)

トヨタはブース入り口に近いところにS-FRがあるのですが、その他は新型プリウス一本押しという印象でした。新型プリウス、とても興味があるのですが、内装を見てがっかり・・・。もう少し高級感が欲しかったところです。しばらく後に出てくると予測されるプラグインのプリウスに期待したいです。

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スバルはアウトドアの道具として車をPRしていました。スバリスト、かくあるべしという感じです。コンセプトカーも出ていましたが、既存のフォレスターやXVと同じような感じで、このまま市販されても全く違和感はありません。

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レクサスは最近発表されたLXを始め、排気量やサイズの大きな車が目立ちました。プレミアムブランドなので、大きさも重要なのでしょうが、NXやIS、CTといった普段使いに便利なサイズの車が小さく感じました。ちなみにLXは長さ5メートル超え、幅は2メートル弱、エンジンの排気量が5.6リッターとものすごく大きな車でした。地方に行くと快適なのでしょうが、市街地だと大きくて苦労しそうです。

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BMWは日本市場での販売が好調ということもあって、幅広いラインナップの車種が展示されています。ディーラーに行くのは敷居が高いと感じる部分もありますので、こういう機会に運転席に乗せてもらえるとうれしくなります。BMWでは電気自動車のi8の現物を初めて見ることができました。とても格好いいのですが、約2千万円の超プレミアムカーですので見るだけです。実際買うとなると、アルピナの3シリーズベースだと1千万くらいからですので、そっちが良いかなと感じます(そうは言っても車に1千万も出せませんが・・・)。

 

主要メーカーの印象(東1〜3ホール)

東1〜3はトラックと二輪車の展示が目立ちます。入り口に近いところからいすゞ、日野、三菱ふそうと続きます。今回は時間が限られていたのでこの辺はスルーです。

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続いてメルセデスですが、BMW同様、多くの車種が並んでいます。モーターショーということもあって、グレードの高い車が沢山ならんでいますが、気楽に運転席に乗ったりということは控えてしまいます。F1のメルセデスF1もありましたが、そんなに賑わってはいませんでした。

 

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一番奥にブースがあるのがホンダです。プレビューではホンダのブースは閑散としていました。市販車はミニバンとコンパクトカーが展示されているのですが、販売予定のNSXやシビック・タイプR、マクラーレンホンダも展示されています。バブルの頃のNSXはモーターショーで一番人気だった記憶があるのですが、今回はそれほど人がいませんでした。NSX的なクルマは一部のファン以外にとっては興味を感じなくなったのかもしれません。

 

主要メーカーの印象(西1・2ホール)

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西の一番人気はマツダでした。トヨタよりも賑わっています。多くの人の目当ては、冒頭に書いたRX−VISIONなのですが、身体障害者向けのロードスターは車いすの方が沢山取り囲んでいます。市販されているクルマも含めて、最近のマツダ車を象徴するレッドで、ワクワクするものを感じました。RX−VISIONはマツダのこだわっているロータリーエンジンです。燃費の問題などで最近のトレンドには合っていないように感じますが、熱狂的なファンがいるんだなと感じました。

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日産はSUVのコンセプトカーが目立っていました。また、電動自動車であるリーフも目立つ所に展示されています。その他にもフーガやスカイラインといったプレミアムセダン、安全性能を備えたSUVであるエクストレイル、GT−RやフェアレディZなどのスポーツカー、ゲームのグランツーリスモに登場しているコンセプトカーなど、バラエティに富んでいて楽しめました。

 

未来のクルマ(西3・4ホール)

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こちらは「スマートモビリティ2015」と題して、これからの車の方向性が分かるような展示になっていました。今後重視されるのが安全性ということで、スバルのアイサイトなどが先行していますが、トヨタも力を入れて展示していました。今度の新しいプリウスやマイナーチェンジしたクラウンから自動ブレーキや全速度追随機能付きのクルーズコントロールなどが入っていくそうです。私も2年後の車乗り換えを予定していますので、新しい機能が入ってくるのは楽しみです。

また、パーソナルモビリティに関する展示もありました。この辺りは時間がなくてそれほど回れませんでしたが、時間があったらじっくりブースの方にお話を聞いてみたいところです。

全体で感じたこと

自動車は脱化石燃料、自動運転に向けて過渡期に入っています。そのため、コンセプトカーの重要性が増しているといって良いでしょう。コンセプトカーはこんな車を作ってみたいというメーカーの意志だからです。

コンセプトカーを見ている限り、王者トヨタに無い方向性を各メーカーが示しています。グローバル市場を見据えている日産・マツダ、フォロワーとしてトヨタとの比較軸で対抗するホンダ、特定のユーザーにアピールしているスバル・マツダ、総合自動車メーカーとして世界観を出しているジャーマン3(メルセデス、BMW、VW)という構図に見えました。一つ言えるのは、トヨタが創り出したハイブリッドの世界にとどまっていては、トヨタの二番煎じでしかないということです。

もっとも、東京モーターショーはアメリカのメーカーやボルボといったメーカーが出ていませんので、自動車業界全体を表しているともいえませんが。

 

あとがき

東京モーターショーはプレビューデーで、入場者は18,000人ほどだったようです。翌日金曜日は41,000人、土曜日は85,000人に増えたそうです。やはり、プレビューだと楽でした。