事業再構築補助金、採択後の手続きについて

事業再構築補助金の7次採択が発表されたのが昨年の12月16日です。

本日(1月16日)でちょうど1か月が経ちましたので、多くの事業者は交付手続きを進めていると思いますが、年末年始を挟んでまだ着手できていないという事業者様に向けて参考になればと補助金入金に向けた手続きをまとめてみました。

 

採択後の手続きを俯瞰する

事業再構築補助金が採択された後にすることは、「補助金をもらう」ことです。補助金をもらうためには、行政の手続きに従って、採択された事業計画に沿って投資を行い、適切に証拠書類を提出することが求められます。

したがって、採択事業者への案内資料である「手引き」を参考にしながら確実に手続きしていく必要があります。(補助事業の手引きはこちら

※2023年1月現在の手引きをダウンロードできます

 

交付決定までの具体的な手続き

補助金事業では、採択は「代表メンバーに選ばれること」であり、交付は「スタメンを勝ち取ること」に該当するのだそうです。これは7,8年前に関東経済産業局の担当者から聞いた言葉ですが、確かにそんな感じです。

せっかく採択されても、手続きをミスすると減額になりますし、補助金をいただけなくなる可能性もありますので、まずは全体を押さえましょう。

 

0:事前着手申請

通常の補助金は「交付決定」されてから発注しなくてはなりません。したがって、採択されたら、すぐに見積もりを確定して交付申請を行います。

事業再構築補助金は交付決定の前に発注したものについても補助金支給の対象になりますし、何なら採択前の内容でもOKです。実際に、既に投資した支出を取り返すために補助金にチャレンジして採択されたという案件も複数あります。

事前着手申請は分かりづらいのですが、事業再構築補助金HPの「電子申請用資料」の一番下にあります。システム操作マニュアルも用意されていますので、ここでは申請内容について助言します。300文字程度でまとめる内容がありますので、以下の通り作文すると良いでしょう。

1.見積書などの取得

(必要な書類)
・見積書
・相見積書(見積書と同じ内訳にしてもらう)
・見積依頼書

補助金で購入するものについて「見積書」が必要です。そして、補助金の原資は税金ですので、適切な支出であることを証明しないと行政として批判されてしまいます。

そのため、原則的には「相見積書」が必要です。設備を購入したり、内装工事を依頼する先にお願いして「他社の見積書」をそろえてもらいましょう。

そして、採用する見積書と全く同じスペックや項目になるように、「こういう内容で見積書を提出して欲しい」という「見積依頼書」を作る必要があります。下記のような「依頼書」を作り、具体的な内容については別紙で一覧にすると良いでしょう。

仕様のところにスペックや台数などが入りますが、採用する見積に合わせたものを用意すると良いでしょう。

 

2.事務局の指示に従って修正

事業再構築補助金の交付申請は、必ず修正が入ると言われています。この辺りは適正な支出がされているかどうか文章で残るものになるので、細かい所まで突っ込んでくるようです。

ただ、理不尽なことを言ってくる担当者(補助金事務局)もいるようですので、できないことについては善処策を確認していきましょう。あまりにも対応が困難なようであれば、「上席の方に代わって欲しい」と言うのも手です。

こちらでサポートした事業者はシステム会社に保守料を定期的に支払っていて、補助金で新たなシステムを入れたところ、銀行の通帳控えが補助金分と定期的な保守料が合算されて振り込まれているとかで、担当者からNGと言われたようです。

といっても、支払手数料のこともありますので、合算して支払いをするのが普通だと思います。上司の方に経理業務の社内プロセスのことを延々と説明して、納得いただいたようです。

 

交付決定後

よほど、補助金計画から外れたことをしない限り当たり前ですが、システム上で交付申請をしたり、指示に従って修正したりという操作を行った後、しばらく反応が無いようなのですが、何回かやり取りを行えば、いずれ「交付決定通知書」が出ます。

交付決定後、すぐに投資してしまえば、「実績報告」を行い、時間が空くようなら「状況報告書」を提出します。

 

状況報告書

状況報告は、補助事業の進捗について端的に報告すれば大丈夫です。

採択時の事業計画に記した当初のスケジュールと現状の進捗、進捗遅れがある場合はその理由を書けば良いです。

 

補助事業実績報告書

交付決定後のヤマになるのが「実績報告書」です。

といっても、事業の概要と成果は100文字程度です。その他は建設した建物や購入した機械装置、認定支援機関の関与や支援状況を書くところがあります。事業計画作成の際にお願いした認定支援機関にアドバイスをもらえば十分に用意できると思います。

補助金入金まで

実績報告を行うと支払額の決定通知が来て、精算払請求、補助金振込という流れです。

 

補助金入金以降

補助金事業が完了した年度が終了した時を初回として、その後、1年後、2年後・・・5年後まで「事業化状況」を報告する義務があります。

これは、制度上は補助金で収益が出たら納付しなくてはならないからです。といっても、実際には経費がかかっているので、十分な収益が出ることは考えづらいです。

・補助事業に要した経費
→「実際にかかった経費から補助金額を引いた額」です。 実際には補助金対象でない費用もありますので、かなりの投資をしているはずです。

・本年度までの補助事業に係る支出
→売上に伴って、人件費や仕入、家賃などもろもろ経費がかかるはずで、事業がスタートする前の「カラ家賃」なども対象になります。

実際の報告内容は以下の通りで、顧問の税理士さんに相談すれば算出してくれるでしょう。

ざっと文字にするとこういった感じになります。

交付後の手続きが分からないという事業者様が案外多いので、こちらの記事でまとめましたが、セミナーも開催します(動画提供も予定)ので、見ていただければ。

 

《あとがき》

今年に入ってから自分自身のことを考える時間を沢山持てています。これまでと異なる分野の専門知識をインプットするリスキリングを意識して、自宅での晩酌を止めました。