今年になってから事業承継の相談が増えてきているように感じます。ただ、事業承継できる状態でない企業もありまして、その場合は前提条件を整えるのに時間がかかります。
事業承継は、引き継ぐ価値があってこそ承継できる
事業承継は、引き継ぐ時点で事業として成り立っているものを後継者に引き継ぐことです。事業として軌道に乗っているのであれば、ある程度の商品と販路、従業員を揃えた状況からスタートできます。この場合は「金の玉子を生み出す雌鳥」に例えられるかもしれません。
引き継ぐ価値のない会社
逆に、事業承継しない方が良い会社も存在します。
・ビジネスモデルが終わってしまっていて、収益を出せない会社
・借金など足かせが大きすぎて、引き継ぐマイナスが大きい会社
・労働組合などのしがらみによって、経営の自由が確保されない会社
自分は以前にJRという鉄道会社に就職しましたが、JRは国鉄の悪いところを切り捨てて新しくできた会社です。国鉄時代は労働組合やら政治からの介入やらによって、自由な経営ができなかったのを、「悪いところを切り捨てる」ことで優良企業に生まれ変わっています。全国の鉄道網を維持するため、国鉄の悪いところを取り除くための荒療治をして新しい組織が引き継ぎました。
借金の大きすぎる会社についても、経営母体が変わって事業だけを引き継ぐ事で生まれ変わる例は沢山あります。バブル期に立てられたレジャー施設や宿泊施設などが借金を切り離して成功した例としてはHISの澤田社長が立て直したハウステンボスや温泉旅館を再生している星野リゾートなどがあります。
小さな会社の場合は、債務超過の解消が優先される
家族でやっているような小さな会社を何とか次代に引き継ぎたいという声も聞きます。ただ、これだけ事業環境が変わっている中では、これからの環境に合わせていくだけで精一杯ではないかと思います。少なくとも、前の代で債務超過=会社の正味価値がマイナスの状態でしかないのであれば、それは引き継ぐ価値がないと言ってしまって良いと思います。
受け継がれた伝統があったとしても、利益を出せない会社については引き継ぐものではありません。
どうしても次代に残していきたいのであれば、ニーズのある製品やサービスにフォーカスして、利益を出せる体質に改めていく必要があります。その結果、会社として存続していても以前の組織とは異なるものになるかもしれません。ただ、事業を残していくということは環境変化に対応して革新を図っていくことに他ならないと考えています。
事業承継をお考えであれば、引き継いでいける状態にするのが前提で、そこから新しい経営者が新たな価値を作り出していくことが必要だと思います。新しい経営者が描き出す「未来戦略」作りをサポートしていくことが自分の仕事ですので、ご興味がありましたらお問い合わせください。
◆自己紹介
私、山下哲博は、これから創業する方、少人数でビジネスをされている方に特化したビジネスコンサルタント(中小企業診断士)です。
・これから創業したい
・ひとりビジネス〜3,4名程度の事業主で相談相手が欲しい
・フランチャイズに加盟してみようかと考えている
こんな方に役立つよう、自分の仕事の中からヒントになるものが有ればよいとブログを書いています。
あとがき
サッカーのアジア最終予選、残念ながら引き分けでした。それにしても37度の暑さの中で肉弾戦を続けることのできる体力は凄いです。