企業の人手不足と労働者の業種間シフト〜平成27年国勢調査の速報より

5年に1回の国勢調査について、速報値が出てきました。自分が注目したのは、「企業は人なり」といいますが、何百万人という規模で労働者の業種が変わっていることでした。

 

平成27年国勢調査

この調査は平成27年10月1日時点で一斉に調べられたものです。人口や年齢、お仕事や世帯・住居などが調査項目に入っています。

詳しくはこちら

調査関係は民主党政権時代に予算が削られ、一貫した調査が出来ていない項目もありますが、国勢調査は「統計法」という法律に基づいて実施されていますので、継続して調査されています。

 

人口が減少に向かった

2010年の総人口は1億2805万人でしたが、2015年は1億2711億人になりました。国勢調査上では初めての減少です。

そして、人口ピラミッドを見ると、41-44歳の第2次ベビーブーム世代の下は人口が減少の一途をたどっています。第1次ベビーブーム世代は65歳を超えていますが、それでも年齢毎に男女とも100万人超の人口がいますが、0歳児ではその半分の人数しかいません。

スクリーンショット 2016-07-01 8.19.16 出所:総務省統計局「平成27年国勢調査」

労働者の業種間シフトが続いている

2015年の就業者人口は5814万人いるのですが、業種毎の就業者人口の割合は変動しています。

最も就業者の多い、卸売・小売は2000年に1139万人いましたが、2015年は959万人に減少しています。コンビニエンスストアが増えている一方、大規模なショッピングセンターに集約され、街中のお店が衰退しているということでしょう。

こちらは統計の結果をグラフにしてみました。

スクリーンショット 2016-07-01 10.07.50

出所:総務省統計局「平成27年国勢調査」を筆者加工

医療・福祉に多くの就業者が流れている

人手不足と言われる、医療・福祉の業界ですが、この15年で300万人近く就業者が増えています。2000年には427万人だったのが2015年には711万人ですので、割合で見ると166%に増加しています。

これだけ就業者が増えても人手不足と言われていますので、いかに医療・福祉の需要が増大しているかということが分かります。

 

今後は「人手を使わない」ビジネススタイルが求められる

この国勢調査では、総人口に占める65歳以上人口の割合は23%から26.7%に増加しているようです。したがって、就業人口に大きな変化がないといっても、就業者全体が高齢化しているのです。

そのため、フルタイムで働くと言うよりは、出来る範囲で働く人が増えているといっても良いでしょう。

今後は従業員の頑張りに期待する仕事のあり方は困難になり、少ない人数で業務を回していくことが求められるのは必然だと考えられます。これから需要の増加が顕著な宿泊サービス等では省力化した仕組みが必要になるし、飲食店でも従業員が少なくて済む仕組みを構築しなければ永続していくのは難しくなります。

現状、医療・介護は施設の要件に従業員数が定められていて、急に省力化することは困難ですが、医療や介護の保険外サービスでは創意工夫の余地があります。これから「オペレーションの省力化」につながるイノベーションが求められますので、省力化のコンサルタントが重宝されるのではないかと考えました。

 

=====

私、山下哲博は店舗ビジネスの発展支援と資金調達サポートを強みとする、小規模事業者向けのビジネスコンサルタントです。

・補助金や事業計画のサポート

・売上増加につながるご支援

難しいことを分かりやすく、経営者の右腕になるべく帆走型のサポートを行っています。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

あとがき

最近はどの経営者とお話しても「人の採用」がお困り事になっています。ただ、そもそも働く人が限られていますので、特効薬はありません。短期的には、従業員満足を高めて、定着してもらうのが一番かと考えます。