直営で上手くいっている店舗をフランチャイズ展開しようと考えるとき、トライアルとしてちょうど良いのが「のれん分け」制度です。今日はのれん分けのメリットについて書いていきます。
FC本部向け実践知識:⑥のれん分けをトライアルに使う
のれん分けとは、これまで会社の中で貢献してくれた従業員に仕事している中で培ったノウハウの使用と店舗の名称を使って良いと許可するものです。これまで営業していた店舗で営業するのであれば、お客様もそのまま引き継ぐことになります。
フランチャイズだと、CoCo壱番屋がのれん分け制度によるフランチャイズをしていることが有名です。
最初のフランチャイズをのれん分けにする意味
直営店を中心に店舗展開していくのと、フランチャイズでノウハウを提供していくのとでは明らかに異なることが一つあります。それは、ノウハウを見える形ですぐに提供できるかということです。具体的にはマニュアルや、研修プログラムになります。
同じ会社で仕事していれば、物事をOJTで教わったり、古株の従業員にやり方を聞いたりすることができるのですが、別の会社となると、普段はいろいろと聞くことはできません。開業前の研修やSV(スーパーバイザー)の定期的な訪問を除いては、ノウハウを伝える機会はありません。
従業員ではあっても、別会社を作って、その従業員が社員を雇って教育する際にどのような研修が必要なのかが分かります。そして、本部としては加盟店のどういう数字を把握すべきなのかについても検討が付きます。
更には、既存の店を任せるのではなく、新しい店をゼロからスタートすると、店舗立地の検証、物件探し、オープンまでのスケジュール、必要な備品の調達など、フランチャイズ店をオープンする際の指導内容を固めることができます。
そして、のれん分けした店舗の経営が軌道にのれば、「オーナーの声」として、加盟店開発の資料に掲載することができます。一緒にやっていた仲間であり、社長が信頼できるスタッフであれば、かなりの確率でフランチャイズ1号店であっても成功できるでしょう。その成功を広げていくのがフランチャイズですので、最初の店をのれん分けにするのは大きな意味があるのです。
のれん分けする際に準備すること
従業員へのれん分けといっても、何の制限もなしにノウハウを提供してはなりません。このノウハウを使って良いのは、開業を認める○○店だけであるということは契約書などで規定しておかなくてはいけません。そうでないと、のれん分けした従業員がフランチャイズ展開を始めてしまうかもしれないからです。
フランチャイズの契約は権利と義務を明確に定めます。
権利 | 義務 |
・チェーンの名称を使える ・ノウハウが提供される →定期的な指導を受けられる |
・加盟金、ロイヤルティ、その他本部が定める費用を支払う・本部の指導に従う
・ノウハウについては秘密保持義務がある ・フランチャイズで得たノウハウを他の事業では使えない |
フランチャイズには実績作りが非常に重要です。のれん分けという形で最初の一歩を踏み出してみるのは有効なやり方ですし、従業員のキャリアプラン形成という意味でもモチベーション喚起につながります。是非、検討してみてください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
(編集後記)
昨日は山手線の事故があって慌てました。動いていて当たり前というインフラの重要性を再認識しました。私にとってインフラと言えるのはパソコン周りなので、情報を整理しようと思います。