大塚家具はあちこちにありますが、高級家具の代名詞のようなお店でした。それが今は苦戦しているようだと報じられています。大塚家具のニュースからポジショニングの重要性を感じました。
大塚家具のビジネスモデル
大塚家具は国内の優れた家具を仕入れてきて、接客営業によって高級家具を丁寧に売るお店でした。接客のスタッフが付かないと店内を自由に見ることができないのが不便でしたが、逆に言えば、家具の説明をしっかりとしてくれる印象でした。
それが、代替わりして自由に店内を見られるようにし、価格帯も少し下げたことで、経営不振にあるようです。
大塚家具は高値のポジションだった
優れた家具は一生ものです。自分は子供の頃に家にあった桐のタンスを未だに使っている位です。何回も引っ越ししていますので多少の傷はありますが、今でも気に入っています。
ただ、そのような家具はホームセンターなどでは販売されていません。本来は優れた家具は職人が作っていて世間に出回らないものでしたが、大塚家具は職人とのルートを有していて、チェーン店でありながら良い製品を取り扱っていました。
その代わり、家具の価値を説明するためのスタッフが付いていました。冷やかし客でなく、本気で検討している方をターゲットにしたポジションを取っていました。
代替わりで価格帯を下げた
世間を騒がせた親子げんかを経て、娘が経営権を確保し、価格帯を下げて接客が付くというスタイルを見直しているようです。客にとって自由に歩けるのは良いのですが、価値をきちんと説明してもらわなければ、競合他社よりも高い製品でしかありません。
自動車などはスペックやブランドの知名度が分かりやすいですが、家具の価値は一般の消費者には正確に分からず、今や大塚家具は他店よりも高い店という位置付けになっていると思います。
中価格帯は激戦区
チェーン店の多くは低価格帯の店舗です。ニトリやIKEAなどがすぐに連想されます。そして、その上の価格になるとフランフラン、ウニコ、アクタスなどが自分も行ったことのある店舗です。それらのお店は大塚家具ほど敷居が高くなく、都会的なイメージがあります。
逆に、IKEAなどにも良いものは沢山あります。
価格帯を変えると、それまでの強みがなくなる
大塚家具は高級家具だから競争力がありました。本当に良い家具を買いたかったら大塚家具に行けば良いと思われていましたが、自ら価格帯を下げたことで、特徴がなくなっているように感じます。
競争戦略の肝は他店との差別化です。これまでは品質で勝負していたのが、価格を下げて「値頃感」で勝負しようという思惑があったと思いますが、敢えて競争の厳しいカテゴリーに足を突っ込んでしまったように感じます。
お家騒動といつまでもおもしろおかしく言われている大塚家具ですが、新たな戦略(ポジショニング)を確立して欲しいと思います。
◆自己紹介
私、山下哲博は、これから創業する方、少人数でビジネスをされている方に特化したビジネスコンサルタント(中小企業診断士)です。
・これから創業したい
・ひとりビジネス〜3,4名程度の事業主で相談相手が欲しい
・フランチャイズに加盟してみようかと考えている
こんな方に役立つよう、自分の仕事の中からヒントになるものが有ればよいとブログを書いています。
あとがき
大塚家具に行ったりしていたのは新婚の時代、あれから10年近く経って、今は家具を買うこともありません。