昔ながらの税理士さんに対するクレーム〜経営者ニーズとのミスマッチ

最近、経営者から税理士さんの苦情を伺うことが重なりました。自分自身を含めて、専門家の役割といったことを改めて考えてみます。

経営者が必ず頼むのは税理士

会社経営者が必ずお願いする専門家といえば税理士さんです。従業員を使っていれば社会保険労務士にもお願いするでしょうが、従業員がそれほどいない小規模事業者だとお願いしないケースもあります。

逆に、税理士さんは経営に不可欠というか、税務署とのやり取りに時間を取られるよりも本業に集中したいというのが多くの経営者の本音だと思います。自分も決算書を確認することはできますが、税務申告は面倒なので税理士さんにお願いしています。

 

ケース1:年間120万円の報酬を取りながら、訪問は年2回

最近お伺いした工事業事業者は年商3億円の会社です。顧問料として毎月7.5万円支払い、決算時には30万円払っているとのことでした。毎月の会計ソフトへの入力は経理担当の事務員が行い、普段は何もしてくれず、上半期終了時と決算の締めの時にしか来てくれないとのこと。

驚きなのですが、税務調査を受け、追加納税が1千万円にもなったということで、その時も何らサポートしてくれなかったとのこと。売上3億の会社が売上の3%超の1千万円も追加で税金を払う意味が分かりません。

 

ケース2:手書きの決算書で、数字が読めない

こちらは食品小売業です。日々の現金の出入りはあるものの、後は材料や商品を仕入れて、毎日現金で販売している商売で、普段は税理士さんは全く必要ないのかもしれません。

ただ、決算書も手書きなら、日々の売上や月次の締めも手書きなので、読みづらい決算書です。

この会社はJR中央線の駅から徒歩2分で50坪の物件を所有しているのですが、土地の簿価は20万円と、全くメンテナンスしていない様子でした。こちらは年間で40万円ほどの税理士報酬を払っているようです。

 

税理士さんへの不満

上記2つとも、事業承継の相談があるということで面談した社長さんからお聞きしました。事業承継には株式の承継が必要になりますが、「うちの株式はどの位の価値があるのか?」ということを知りたいとのこと。

当然、株価の算出は”顧問”税理士の役割になりますとご案内したところ、「うちの税理士はそういう事を全くしてくれない」と解答があり、その後は不満についてあれこれお聞きしたという経緯です。

 

期待されるサービスには応えていく

以前の税理士さんという商売は、領収書をもらって記帳代行して決算書を仕上げるということが期待されていたのかもしれません。ただ、今は会計ソフトがありますので、簿記のことが分かっていなくてもシステムのサポートを受けながら記帳すること自体はできるようになっています。

記帳という業務はITに取って代わられつつあると考え、記帳の仕方や月次決算のやり方を経営者に教えていくと考えて取り組んで行く事が税理士さんに求められているのだと思います。

今回は税理士さんの例ですが、中小企業診断士もネットに出ている情報を提供するだけでなく、経営者の右腕としてお役に立たなくてはならないと考えています。単に経営診断して客観的に良いところと良くないところを示すだけでなく、具体的で分かりやすい提案をしていきたいと改めて思いました。

 

◆自己紹介

私、山下哲博は、これから創業する方、少人数でビジネスをされている方に特化したビジネスコンサルタント(中小企業診断士)です。

・これから創業したい

・ひとりビジネス〜3,4名程度の事業主で相談相手が欲しい

・フランチャイズに加盟してみようかと考えている

こんな方に役立つよう、自分の仕事の中からヒントになるものが有ればよいとブログを書いています。

 

あとがき

120万円の顧問料をもらって、決算書を作るだけとか、正直びっくりしました。普段の記帳を社内でやっているなら、その4分の1位で引き受けてくれそうな税理士さんは沢山いるのですが。。。