二輪販売店のビジネスモデル①業界の状況と問題点

この夏場は二輪販売店の経営計画作成をお手伝いさせていただきました。二輪販売店は大変厳しい業界ですが、元気にやっている店舗もありますので、既存販売店の活性化について考えてみます。

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二輪市場の縮小

二輪車の需要は年々減少が続いて、衰退産業といっても良いくらいの窮状にあります。日本自動車工業会の統計によりますと、1997年度に約117.8万台あった需要が、2012年度には42.8万台に減少しています。比較すると、36%ほどしかなく、それだけ市場が縮小していることが分かります。

車離れと言われていますが、二輪車の減り方はもっと鮮明です。

 

二輪市場縮小を加速させた要因

①少子化

②二輪駐輪場の不足

③二輪に乗るよりも楽しいことがたくさんある

④二輪対象の窃盗

⑤自転車ブーム

ざっと考えてみただけでこれだけあります。少子化が進むことによって、エントリーライダーの絶対数が減ります。また、二輪車にも駐車違反が適用されるようになったにも関わらず、街中に駐車するスペースが無いという問題があります。路上駐車が厳しく取り締まられるようになり、自動車については街中のパーキングが増えましたが、二輪車向けのパーキングはほとんどありません。警察が設置しているパーキングメーターについても、二輪車は駐車することができません。

 

街中の二輪販売店の問題

・新車販売→メーカー直営の店舗が値引きして販売している。

・中古車販売→大手を中心としたチェーン店が多数有り、知名度、仕入れ力共におよばない。

・バイク用品店→大手チェーンには品揃えでかなわない。

私が支援させていただいた二輪販売店は、新車販売の粗利益率が1%台しかありませんでした(粗利=売上ー仕入)。メーカーからの報奨金で多少は補填されますが、それでも5%程度です。
どうして安売りするのかを聞いたら、メーカー系列の販売店に重点的に新しいモデルが入り、街中の店舗に新しいモデルが入るようになるタイミングで一斉に値下げしてくるそうです。仕方ないのでその金額に合わせて「特別値引き」をせざるを得ないとのこと。

中古車の粗利益率は10%台に届きますが、大手チェーンの仕入れ力にはおよばないので、良い車を仕入れたら直ぐ売れるものの、仕入れ数が限られているために大きな商売にはなりません。

街中の二輪販売店はこのような状況に陥り、十分な利益を稼ぐことができない事業者は廃業を余儀なくされています。次回、対応策について記します。

 

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私、山下哲博は資金調達サポートとフランチャイズを専門分野とする小規模事業者のビジネスサポーターです。企業の成長戦略をサポートすることで、地域にビジネスの芽が定着できるようお手伝いしています。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

あとがき

私は以前、MTB(マウンテンバイク)に乗っていたこともあり、オフロードバイクに憧れました。ただ、自宅周りに駐車するところもなかったので、乗らないままで終わってしまいました。二輪の運転免許が必要で、バイクをいたずらされないようにするというのは非常にハードルが高かったです。