事業承継の相談事例、ご子息への引き継ぎ

先日、自動車関係の経営者様にお会いする機会がありました。自動車業界はどこも売上が右肩下がりで大変なのですが、その社長さんは上手く経営されていました。ただ、ご年齢を考えると次への引き継ぎを考えた方が良いのではと思った次第です。

創業社長、世の中の流れに合わせた経営

お会いした社長さんは団塊の世代にあたるご年齢で、1970年代に独立開業されました。当初は整備士として独立されたのですが、その後、中古車販売に着目し、今では整備の仕事よりも中古車販売の方が比率が大きくなっています。ただ、一般の中古車販売店と違うのは、ご自身で整備ができることです。

一般的に中古車は車齢が古くなるとトラブルが出てくるので、販売前に修理を行ったり、きちんと整備する必要があります。多くの販売店は売った後のトラブルを避け、割と新しめの車両を扱いたがりますが、そういう車両は人気ですので仕入が高くなります。この社長さんは、古い車をきちんと整備して販売することで、周りとの競争を避けています。

 

技術も周囲からの信用も社長さん個人に備わっている

ただ、その社長も60代後半で、まだまだ元気ではありますが、将来何があるか分かりません。実際、自分の父も64歳で脳梗塞を患い、67歳で他界しています。60代後半なら大丈夫でしょうが、男性の健康寿命は72歳が平均ですので、この先はリスクが高まってきます。

社長さんにはご子息がいて、将来的には引き継ぎたいと考えてはいるようですが、まだまだ技術的には社長の域まで届きません。取引先からの信頼も社長に対するものでしかないです。

 

事業承継には3〜5年は必要

社長は技術をたたき込まないと引き継ぎできないと考えているようですが、技術の引き継ぎよりもやることがあります。それは、後継者としてきちんと指名して、引き継ぎのスケジュールを作ることです。経営を引き継いだ後でも技術は引き継げますが、経営を引き継ぐには、社長自身と後継者の両方に負担が掛かります。対外的に惜しまれる位の段階で引き継ぎの挨拶をして回って、経営者に必要なことを教えていく必要があります。従業員との接し方や育て方、銀行や取引先との折衝など、相手に足下を見られないよう教えていき、技術は代表を退いてからでもゆっくり教えていけば良いと思います。自動車に関することなので、技術まで含めると10年かかるかもしれませんが、経営に関することを3-5年位で引き継いでいくと良いと感じました。

まずは、家族で話し合って、いつ引き継ぐかを明確にすることが必要でしょう。

 

事業承継というと、財産の引き継ぎや事業承継税制といったことに注目が集まりますが、実際は「次の経営者」を作ることが一番大切です。まだまだと思っている経営者も多いと思いますが、思い当たることがあればご相談いただければ。経営者からだけでなく、税理士さんや社会保険労務士さんからのお問い合わせも歓迎です。

 

 

◆自己紹介

私、山下哲博は、経営革新等認定支援機関の登録をしているビジネスコンサルタント(中小企業診断士)です。

得意分野はフランチャイズの本部立ち上げですが、会社の成長につながる経営計画作り、補助金申請など、ビジネスの成長、新規立ち上げをサポートしています。

・創業時の創業計画、創業融資獲得

・店舗の収支改善、集客、多店舗展開・フランチャイズ展開→ハンズオンで支援します

・資金調達のための事業計画(銀行から言われたら一緒に作成します)

・日本政策金融公庫の経営力強化資金(通常より低利です)

・新しいことに挑戦する経営革新計画、経営力向上計画

・ものづくり補助金など、補助金申請

・会社の成長戦略を描くための早期経営改善計画(費用の3分の2は補助金使えます)

特に得意なのはサービス業、リサイクルビジネスです。

このブログは情報発信のために平日はほぼ毎日書いています。

 

あとがき

週末にネコを連れて旅行に行ったのですが、ネコにとっては大変ストレスだったようです。ご飯を食べた後はそれほど寄りつかなくなりました。楽になりましたが、少し寂しい気持ちもあります。