事業承継の肝は後継者の育成、中小企業診断士の出番です

昨年から事業承継の相談を受ける機会が増えました。経営者にとって答えの無い分野こそ、専門家のサポートが必要です。

事業承継の現場

昨年位から事業承継の相談が増えています。ルートとしては、金融機関から商工会議所に持ち込まれて、自分が対応するという流れです。相談で対応する経営者の多くは70代であり、金融機関としてもそろそろ準備してもらいたい、見方を変えると、返済を後継者に受け継いで欲しいという事情も透けて見えます。

 

事業承継相談の分類

・事業を引き継ぐ親族がいる

・事業を引き継ぎたい従業員がいる

・特に何も考えてないが金融機関に言われた

・どうして良いか分からない

 

大きく分類すると、上の4通りです。下の2つも割と多くて、「金融機関に言われたんだよ!」と憤る経営者もいます。ただ、男性の平均寿命は80歳位ですので、75歳位で引退に向けた準備をするのは悪いことでは無いと思っています。

 

後継ぎが決まっていない、事業承継するか決めていない

この先を決めてないという会社も多いです。多くは、事業が赤字体質になっているものの、金融機関からの借入で何となく事業を継続できているという会社です。その場合は継続するかしないかが問われます。

事業を継続するのであれば、少なくとも黒字回復できることが条件になります。赤字のままで後継者に渡すべきではありません。たとえ老舗企業であっても、経営者交代の時点でビジネスとして成り立っていないのであれば、引き継がないという選択が正解でしょう。

 

後継ぎが決まっている

息子などの親族に引き継ぐのか、従業員に引き継ぐのかによって、株式譲渡のやり方が異なりますが、どちらにしてもやらなくてはならないことは「経営者を育てる」ということです。業務に習熟することと、経営に関わることとでは次元が違います。

業務は与えられた環境の中で行うものですが、経営は従業員が仕事をすることができるステージを用意するもので、人から与えられるのではなく経営者が作って行くことです。順風満帆な状況であればよいですが、逆風が吹いているときはリストラをしたり借金をしたりと、経営者が責任を取らないとなりません。

事業に必要なお金を調達して、従業員を雇用して育ててということであったり、経営を取り巻く環境の変化に対応して事業の見直しをしたり、新規事業を立ち上げたりということは、経営者にならないと経験できません。

 

経営者になるための準備

経営者になるための準備として、できることはやっておいた方が良いです。

・財務諸表の理解

・自分の経営計画を作る

・社外にブレーンを作る

既にある事業を引き継ぐので、財務諸表が読めなくても、自分自身の計画が無くても経営者になることはできます。ただ、それだと従業員任せになってしまいます。

財務諸表は税理士や会計士が作るものではありますが、人に任せるのでなく自分で管理して、結果に責任を持つべきです。数字のどこがどう良くないのかを分かっていれば修正していくことが出来ますが、理屈が分かっていないと対処できません。また、数字を把握できるような仕組みを作っておくことも必要です。

 

事業承継というと、株式の引き継ぎや相続などがクローズアップされますが、本当に重要なのは後継者を育てることです。どこから手を付けて良いのか分からないのであれば、専門家に相談することをお勧めします。

 

 

◆自己紹介

私、山下哲博は、経営革新等認定支援機関の登録をしているビジネスコンサルタント(中小企業診断士)です。

・創業:創業資金を確保するための事業計画を作りたい

・新事業挑戦:新しい事を始めるための計画を作りたい。事業評価を行いながら失敗しないように取り組みたい。補助金や融資など、これからの事業に必要な資金を調達したい

・多店舗展開、フランチャイズ:これから事業を大きくしていきたい。組織を急拡大したい

こんな方に役立つよう、自分の仕事の中からヒントになるものが有ればよいとブログを書いています。まずはご相談だけでも問題ありませんので、お気軽に問い合わせていただければ。何らかのヒントはご提供できると思います。

 

あとがき

仕事が一段落したので、事務所近くの明治神宮に参拝してきました。さすがに年初に比べれば空いていました。