従業員への事業承継の盲点、親族への法定遺留分をクリアする

事業承継の案件で金融機関から紹介される先の多くは、事業承継に具体的なアクションを取っていないことが多いです。従業員に承継するのであれば考えなくてはならない点が株式の移転です。

従業員への事業承継

経営者にはご子息がいるものの、ご子息は家業と違う仕事をしていて、全く戻ってくる可能性がないという会社は多くあります。実は自分も父は自動車整備業をしていましたが、自分は全く引き継ぐ予定はありませんでした。

そうなると、従業員に対して、株式を集約させて、安定した経営権を確保してあげる必要があります。

 

法定遺留分と経営権

会社の経営を安定させるには、外部の意向で解任されたり、重要な意思決定を経営者ができるように株式を集中させる必要があります。ただ、通常は現経営者が株式を集中してもっていまして、株式を移転する前に経営者が急逝するリスクがあります。

経営者が株式の承継をする前に亡くなった場合は、株式は「法定遺留分」として、経営に関係のない家族にも株式や会社資産が相続されるリスクがあります。経営者が高齢になるほど、そうしたリスクは高まります。

 

法定遺留分として親族が半分引き継いでしまうリスク

代表者が特段何も対策を行っていなければ、代表者の配偶者が半分、子息全員で半分を引き継ぎ、子息が均等に引き継ぎます。そして、それとは異なった遺言などを残していても、残された親族には「法定遺留分」を主張することができ、本来の相続割合の半分を引き継ぎます。

・代表者死亡後、妻1人、息子1人に相続権がある場合

→株式の承継を進めていなければ、妻が半分、息子が半分相続で引き継ぎます。仮に、親族以外に株式を引き継ぐ意思を残していても「法定遺留分」を主張されると対抗できません。

この場合は、息子が4分の1、妻が4分の1について、引き継ぐ権利があります。

息子が2名だと息子1人当たり8分の1の相続権を主張できますので、親族以外の後継者は過半数の株式を取得できません。

事業承継の3つの柱

・経営の承継

・会社資産の承継

・ノウハウなどの見えない資産の承継

最も形式的だけれども対策しておかないとならないのは、資産の承継であり、事前の準備が不可欠です。ただ、事前準備については分かりやすい部分がありますので、対策しているかしていないかで結果が大きく変わってくる部分です。

なお、上記の3つとも一朝一夕では引き継げませんので、十分に対策しておく必要があります。事業承継といってもどこから手を付けた方が今一つ分からないという方がいましたら、前裁きからお手伝いさせていただきますので、ご興味がありましたらお問い合わせください。

 

◆自己紹介

私、山下哲博は、経営革新等認定支援機関の登録をしているビジネスコンサルタント(中小企業診断士)です。

・創業:創業資金を確保するための事業計画を作りたい

・新事業挑戦:新しい事を始めるための計画を作りたい。事業評価を行いながら失敗しないように取り組みたい。補助金や融資など、これからの事業に必要な資金を調達したい

・多店舗展開、フランチャイズ:これから事業を大きくしていきたい。組織を急拡大したい

こんな方に役立つよう、自分の仕事の中からヒントになるものが有ればよいとブログを書いています。まずはご相談だけでも問題ありませんので、お気軽に問い合わせていただければ。何らかのヒントはご提供できると思います。

 

あとがき

今日はお仕事で静岡に車で行きました。途中で晴れているのに気温2度という地点もありました。冬タイヤに変えておいてよかったです。