新型コロナウイルスの影響が大きかった時期に融資を受けた事業者の多くが「ゼロゼロ融資」を受けています。返済が本格的に始まって、多くの事業者で「経営改善計画」の策定が必要になっています。
経営改善計画を作成する立場として、改善計画を作る際の道筋について記してみます。
経営改善計画は単なる数字合わせではない
支援の依頼を受けて、いざ企業さんを訪問してみますと、
「昨年、改善計画を作りました」という事業者さんが案外多いです。
ただ、内容的には共通するものがあります。
・単に業績が上向く計画が作ってある
・業績が上向く根拠が薄い(又はほとんど説明なし)
↓こんな感じになります。
これでは、経営改善計画といっても「絵に描いた餅」です。
金融機関が一番嫌うパターンですが、こういう計画しか作っていないケースが多いです。
経営改善計画に必要な要素
経営改善は、収入と費用のバランスを取れるようにしていくのですが、
現状を招いてしまった原因を追究することは必要です。
・どうして費用が過大になってしまっているのか?
・どうして売上が縮小したまま戻らないのか?
コロナ禍が去れば元に戻るのか?と言えば、完全には元に戻りません。
コロナで変わってしまった習慣は結構ありますし、
今は円安や物価高、多くの人は収入が据え置きのままです。
この変わってしまった状況の中で売上を見込み、売上の範囲内に費用をコントロールする必要があります。
したがって、「どうして収支のバランスがくずれたのか?」という原因追及は必要です。
原因がわかったら、今後、どのように収支のバランスを取っていくのか事業を再定義する必要があります。売上が完全に回復しないものとして計画するのか、以前ほどの従業員を確保できないものとして計画するのか、大方針を決める必要があります。
大方針が描けていない経営改善は、実効性が薄いと言わざるを得ません。
「あるべき姿」を描く
コロナで変わってしまった状況に応じた環境変化を受け入れ、
この状況でどのような未来を描けるのか「あるべき姿」を描きます。
あるべき姿を描く過程で、事業の縮小と得意分野に絞り込む方向で検討していきます。
例えば、売上4億、従業員10名いた会社では、売上2億、従業員3名でやっていける方向に舵を切りました。社長としては不本意だったと思いますが、黒字回復と従業員の再雇用の両方は難しいです。
現有戦力で黒字回復を目指し、その後に組織の拡充を目指す計画を作り、まずは少ない人数で特定分野に集中して取り組むよう助言しています。
最適化を図る
計画を立ててみると、案外無駄なことに労力を使っていることに気づくことも多いです。
利幅の薄い仕事であったり、毎回受注するのに苦労する仕事であったりすれば、そういう仕事を今後もしていくか検討してみると良いです。
業務を改善すべき段階では、無理の多い仕事は優先度を落とした方が良いでしょう。
また、余計な経費も見えてくるかもしれません。
以前は必要で購入していた雑誌が今は必要なかったり、余計なお付き合い(交際費)が出てきたりすれば、今の身の丈に合わせて削っていきます。以前必要だった業務ソフトについても、今はもっと安価なソフトがあるかもしれません。もっと言うと、人件費もコストです。無理に従業員をカットする必要はないですが、少ない従業員で効率的に業務を回せるようにしたり、変動費化できるパートさんは業務の繁閑に合わせて入ってもらいます。
経営改善計画というと、リストラとか大ナタを振るうイメージがあるかもしれません。
ただ、事業が継続できなければ意味ありませんので、リストラは必要があれば行う必要があります。リストラありきの計画づくりはしませんが、選択肢としてはありえます。
一方的にバサバサ切っていくというより、現状の見える化をさせていただき、その上で選択していくイメージです。金融機関から「経営改善計画を書いて欲しい」と言われてどうしようかとお考えであれば、まずはご相談いただければ。
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