先週の12月18日に平成27年度補正予算案等が閣議決定しました。28年度の概算要求に入っていなかった、「ものづくり補助金」が補正予算で実現します。
中小企業の生産性向上に関する補助金
補助金で展開する、主な取り組みは以下になります。
・ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金 予算 1,020.5億円
・中小企業等への省エネ設備導入支援 予算 442.0億円
・小規模事業者持続化補助金(販路開拓取組) 100億円
・石油製品安定供給体制整備事業 50億円
・農商工連携、地域資源など支援事業 30億円
・生産性向上に向けた資金繰り支援 20億円
・価格交渉サポート事業(下請かけこみ寺) 4億円
ものづくり補助金の変更点
従来のものづくり補助金は、補助上限額が1,000万円でした。設備投資による生産プロセスの変革、試作品の開発、サービス開発などが対象とされていました。
次に実施されるときは、補助上限額3,000万円のものが追加されました。IOTを用いた生産性向上のための試作開発に必要となる設備投資が対象になります。
IOTが重要視される理由
IOTは「モノのインターネット化」のことで、様々な物体に通信機能を持たせて、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うことです。ものづくりの現場にセンサーと通信機能を内蔵させた設備を導入することで、稼働の状況やエラーを把握することができ、検査の結果がデジタルデータで保存されていくイメージでしょうか。
これまでのもの補助だと検査工程のデジタル化を推進する企業が多かったのですが、単にデジタル化するだけでなく、データがクラウドに蓄積されていくことで、製造現場だけでなく、設備を製造しているメーカーにとってもメンテナンスしやすくなります。
今でもコピー機に通信機能があって、コピー枚数のカウントやトナーの有無などがメンテナンス事業者に連携されていますが、そういったことがものづくりの現場に広がっていくことで生産性の向上や需要予測などに活用されそうです。
ものづくり補助金の予算と採択件数
予算1,020.5億円という金額は、昨年同様です。
参考までに申請件数と採択件数です。
1次公募 申請件数:17,128件 → 採択 7,253件(42.3%)
2次公募 申請件数:13,350件 → 採択 5,881件(44.1%)
特に、1次と2次で採択率に大きな差はありません。
ただ、予算額は決まっていますので、必要であれば1次公募で申請することをお薦めします。
ものづくり補助金の申請については、経営革新等支援機関の認定を受けている事業者のサポートが必須になります。この支援機関には、制度上の関係で税理士の先生などが多いのですが、自ら事業計画を策定できる先生に相談する方が良いでしょう(税理士の先生はほぼフリーパスで支援機関になることができるのですが、税務以外の業務は???という先生が多いのが現状です)。もちろん、税理士の中にもビジネスモデルや製造業の業務改善に詳しい先生もいらっしゃいます。
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私、山下哲博は店舗ビジネスの発展支援と資金調達サポートを強みとする、小規模事業者向けのビジネスコンサルタントです。難しいことを分かりやすく、経営者の右腕になるべく帆走型のサポートを行っています。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
あとがき
昨日は忘年会で遅くなってしまったのですが、0時過ぎの渋谷駅は大混雑でした。今日は疲れが残ってしまい、自宅で静養していました。何事もほどほどが肝心だと改めて感じました。