フランチャイズ本部が留意すべき法務知識③フランチャイズ契約書

フランチャイズ本部が気を付けるべき最大の法務案件はフランチャイズ契約書です。本部が運営するとかなりの確率で成功することができるパッケージを作り上げたとしても、実際に店舗を運営するのはフランチャイズ加盟店になります。想定通りにいかないことが十分に予想されますので、いざというときに本部を守るものとしてフランチャイズ契約書をしっかりと作成してください。

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フランチャイズは権利と義務の関係です

このブログで何回も書いていますが、フランチャイズは「営業する権利」を契約で定めるものです。ただ、フランチャイズに加盟したからといって全てを許していたら、チェーン全体で「声の大きい」加盟店が自分の権利を得るようになってしまいます。加盟店の勝手な行為を許さないためにもフランチャイズ契約で、加盟店の義務を定める必要があります。

そして、義務を守らない加盟店についてはチェーンから脱退させて、本部はチェーン全体を守らなくてはなりません。そのため、いざというときにそなえて、本部が加盟店を除名する権利を持っておかなくてはなりません。

 

契約に定めておくべきこと

したがって、フランチャイズ契約には本部が契約を途中で打ち切る権利を必ず盛り込んでおかなくてはなりません。もちろん、加盟者が営業停止になるなど、一発でアウトにすることができる内容もあれば、本部が何回も警告した上でそれでも改まらない時に契約を解除する内容もあります。

本部が自ら直営店を展開するにあたって、加盟店が邪魔になるから一方的に除名しようとすると、独占禁止法に定められている「優越的地位の濫用」になりますので、契約書に入れているからと言って思い通りに契約解除できるわけではありませんが、契約の文言にいれておけば、加盟店とトラブルになったときに強気で交渉することができます。

また、途中で契約を解除する際に、加盟店に否がある場合の「違約金」の設定も有効です。中には違約金の支払いに応じない加盟店も出てくるでしょうから、それに備えて保証金を預かっておくと良いでしょう。

 

フランチャイズ展開を始めるときには「性善説」で加盟店を捉えてしまいがちですが、どちらかといえば「性悪説」で考えて、トラブルが起こった時の備えをしておくべきです。契約書を作るのは弁護士さんですが、どういうリスクが起こりうるか十分に検討できない弁護士だと一般的な代理店契約などをアレンジして作りがちです。必ず、起こりうるトラブルを列挙できる専門家と一緒になって契約書の骨格を作り、弁護士に文言を固めて貰うことをお勧めします。

 

あとがき

フランチャイズ契約で権利を渡すことを十分に考えずにフランチャイズ展開すると、後々トラブルになったときに全く対処できません。以前、フランチャイズ本部にいたときに、様々な局面を想定して作られた契約書が締結されていたので、本当に助かりました。