事業再構築補助金、8次申請で採択された「ストーリー」

昨日(2023年4月6日)に事業再構築補助金の8次申請分の採択発表がありました。当方で手掛けた案件でいくつか採択されていますので、採択された案件の内容を振り返ってみます。
(当方の会社名が支援先として公表されていない案件もあります)
次回、再挑戦される方の参考になれば。

事業再構築補助金8次申請の結果

事業再構築補助金は2023年1月13日締切で12,591件の申請があり、6,456件が採択されました。採択率は51.3%です。ちなみに、通常枠だと49.1%、加点される緊急対策枠だと53.8%になりますが、大きな差はありません。

当方で手掛けた内容

新事業に挑戦する理由はそれぞれですが、採択されただけあって、どこもなるほど!という内容です。

建設業界:公共土木工事→民家の解体

もともと、地元自治体の下水道工事や舗装工事を専門に受注していた事業者が、土木工事の案件が滞りがちになってきたことをきっかけに、民間工事に進出しようと検討していました。
社内で技術を保有している電気工事や足場工事等を検討しましたが、これからの地域課題として「民家の解体」が重要になるだろうと目を付けて、新たに進出するというストーリーです。

そうなると、家屋の解体に使う「油圧ショベル」が必要で、ざっと2000万円の投資が必要になることから、事業再構築補助金に挑戦しています。

製造業:旋盤加工による金属部品製造→図面の無い部品製造

もともと、鉄、ステンレス、アルミニウム、その他の難削材加工を得意としていました。ただ、原材料コストや人件費の急騰によって利益確保が課題になっていました。

もっと付加価値を出すことができ、他社がやらない事業に進出無くてはと検討したのが、図面の無い部品製造を専門的に行う「リバースエンジニアリング」です。今も取引先から部品を持って来られて、同じ部品を作ってと言われることがたまにあるそうで、それを事業として打ち出そうというストーリーです。

そのためには高精度な加工設備が必要ということで、約2000万円のマシニングセンタを購入するために事業再構築補助金に挑戦しています。

設備投資の流れ的には「ものづくり補助金」でもいけそうですが、これまでは量産品を得意先に作っていたのを、部品再現の要望に応えて、広く取引先を開拓するというストーリーで、事業再構築補助金として採択されました。

賃貸業:建設用備品などのレンタル→足場資材工事 

地方で建設現場向けのユニットハウス(事務所や仮店舗)、そこで使う備品をレンタルで提供していた事業者が、建設現場の工事スタート遅延やら中止やらで売上が減少していたので、新たな事業として「足場資材工事」をターゲットに選びました。

レンタル業は現場工事があってこそのサービスで、自ら需要を作り出すことができないので、自ら案件を作り出すという方向で、足場資材メーカーの管理職と建設会社の監督職を外部からスカウトしての新規事業進出です。

しかも、事業基盤としていた地域ではなく、首都圏での新事業スタートです。地盤がない地域だけれども、そこで活躍していた人材をスカウトしていて、お客様はスカウトした人材のネットワークによるもので、十分対応できるというストーリーです。
そんな人材、良く取れましたね!と話したら、定年退職だそうで。まだまだ活躍できる方の働き口も創出できるので、審査員の胸を打つ話ではなかろうかと。

足場として使う資材、約2,000万円を補助金で購入、資材置き場を立ち上げて、建設業の許可を取得して新事業スタートです。

事業再構築補助金、採択されるコツ

上の採択例を見てもらえば分かるように、これまで「事業」としてはやっていなかったけど、やった事のあることだったり、隣の分野だったりという事業に挑戦する。事業として本格的に参入するなら、設備が必要なので補助金を申請するというストーリーが共通しています。

事業再構築補助金は「新しい商品(サービス)」、「新しい市場(お客様)」を開拓しなくてはならない補助金です。そのため、申請のハードルは高いのですが、全くやった事のない事業である必要はありません。
(逆に、全くやった事ない事業にフランチャイズで挑戦する・・・だと難しかったりします。上記の事業者の1つはフランチャイズで申請した時は落ちました)

事業再構築補助金は申請してダメでも再挑戦できますので、ご興味があればお問い合わせください。

2023年度の事業再構築補助金、内容を整理してみました

 

《あとがき》

金融機関にお金を貸していただきました。
最近、月々の収支と実際の手元資金がリンクしないというか、
精神的な安定のためにお金を借りました。
(前期黒字、今期も黒字予想ですが、手元資金が本当に危なかったです)

従業員を雇ったり、大きな固定的な支払の無い当社ですら資金繰りの不安があります。
支援先で従業員30名、パート従業員150名を抱える事業者を支援していますが、
資金繰りは本当に大変だろうなと感じます。