東京の下町の傘屋さんからお話を伺うきっかけがありました。その傘屋さんは注文が追いつかないくらい忙しいようなのですが、復活のきっかけは上手に値上げしたことのようです。
値上げをすること
製品でもサービスでも、相手に何かを提供すれば対価を請求する権利があります。それを安くするか、高くするかは本来は事業者が決める権利があります。ただ、周りとの相場がありますので、安い方に引っ張られてしまうことが多いのですが。
しかし、何事にも原価がかかっていますので、原価を上回って企業を維持させることができるだけの収益を取らないと事業は長続きしません。自分の製品に自信を持って価格を付けることは重要なことです。
値上げができるようになった経緯
その会社は日本製の生地にこだわって、熟練の職人が傘を作っています。以前は傘屋さんから、安い外国製の傘が入ってきているから価格を下げるように言われて、仕方なく値下げをしていたようです。
しかし、傘を販売するお店も少なくなりましたので、価格を安くしたところでジリ貧だったようです。それならと、インターネットを使って直販をするようになり、自社のブランド、傘作りのこだわりを前面に出し、外国製の傘との違いを説明した上で高い価格にしたということです。
それによって、ファンができて、良い傘を買おうという方が買ってくれるようになり、一本買った方がリピートしてくれるようになったということです。現在は、小じゃれた感じの直営店、動画で商品を説明することができるネットショップ、百貨店の催事販売などが主な販路になって、最低1万円する傘が堂々と説明されています。
サービス業も価格の設定が重要
自分は社会人になったときに旅行の手配の仕事をさせていただきました。社員旅行のお客様からは「団体で平日に泊まるんだから安くするよう交渉しろ!」とよく言われました。確かに、団体だと宿にとっては一度にチェックインしてくれるから楽ですが、宿泊施設を提供するに当たって先行投資したコスト、従業員の人件費、宿泊者の食事代と全てコストがかかっています。そのため、無理な値切り方をしてくるお客様については、食事で調整されていました。温泉旅館では豪華な食事が出てきますが、単価の高いアワビなどの食材が削られます。
サービス業でも、この傘屋さんと同じで、なぜその価格にするのかを説明し、その価格に見合ったサービスを覚悟を持って提供する事が大事だと思います。
私のような士業でも同じです。良いサービスを提供しようと思えばある程度の金額を請求します。その価格を堂々と提示できるよう、自己研鑽を重ねていこうと思います。
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私、山下哲博は店舗ビジネスの発展支援と資金調達サポートを強みとする、小規模事業者向けのビジネスコンサルタントです。難しいことを分かりやすく、経営者の右腕になるべく帆走型のサポートを行っています。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
あとがき
楽しみにしていたACL(アジア・チャンピオンズ・リーグ)サッカーが開幕しました。今日は日本のチームが両方負けてしまい、残念な結果でした。