フランチャイズの初期投資額を考える(FC本部向け実践知識②)

フランチャイズ本部が一同にそろう、フランチャイズ関連の展示会に行くと、どのようなフランチャイズ本部に需要があるのかが分かります。展示会に出展すると、出展料、出展ブースの装飾、配布物の作成等で100万円前後はかかります。当然、費用がかかった分の効果を期待しますので、「今、加盟希望者に受けるフランチャイズ」が展示されます。

私は2009年より7年間フランチャイズ関連の展示会に出ていますので、FC本部のトレンドの変化を感じています。今回は景気の波とフランチャイズ本部の相関関係を書いていきます。

スクリーンショット 2015-04-08 10.17.05

 

FC本部向け実践知識:②FCの初期投資について

景気が変わるとFC本部の展示が変わるとは、どういうことでしょうか?それは、不景気になるとローリスク志向、すなわち、初期投資額を押さえても開業出来ることが訴求されるということです。

通常、リスクとリターンには相関関係があり、リスクが小さければリターンは小さくなり、リスクが大きければリターンも大きくなります。席数10店舗の店舗と席数100店舗の飲食店を例に取ると、席数10だと初期投資も運営費用も小さくて済むのでリスクは小さいけれど、すぐに満席になってしまい、売上が頭打ちになってしまうことを連想していただければと思います。

それでは、初期投資額について2年前と今年を比較したデータがありますので、紹介します。

スクリーンショット 2015-04-08 10.21.31

こちらは、毎年3月に開催されるフランチャイズ・ショーの出展企業のデータです。数字については総合パンフレットに記載されているものをカウントしています。初期投資1千万円で済むということは、その後の運転資金を含めても2千万円弱で開業することが可能なモデルであり、個人が借り入れによって調達することができる金額です。

2013年に初期投資額を明記して出展しているFC本部が123社であったのに対し、2015年には174社に増えています。FC本部の加盟店開発意欲が旺盛になっていることが分かります。そして、出展しているうち、初期投資額が1千万以下で済むとしている本部の比率が63.4%から50.6%に減少しています。私自身、2013年のフランチャイズ・ショーでは「低投資サービスFC、これからの本命は?」と銘打ったセミナーを行っております。

サービス業のFCについては、先日、加盟者向けのコラムで動向を書きましたが、出張サービス等、店舗の無い業態がありますので、店舗がない分、初期投資を抑えた形での開業ができます。小売りについても、商品の仕入費用をどうするかという問題はありますが、小さな店舗でリサイクルが主体であれば小さくスタートすることも可能です。

一方、飲食店については、店内での加工と飲食スペースが必要になります。飲食で小さく始めるためには、持ち帰り専門にして、食品は本部で加工して、店舗では簡単な作業のみにすれば可能かもしれません。ただ、単に持ち帰るだけならコンビニで十分であり、何らかの付加価値が無いと成り立たないでしょう。

FC本部として検討すること

初期費用をどの位で設定するかということは、店舗のポジションによって決まってきます。すなわち、ターゲットとするお客様、提供する商品、月額売上の規模といったところです。売上があまりにも小さいと、家賃や人件費を吸収できませんし、加盟店が初期投資した分の回収ができません。

初期投資を低く抑えれば、個人の方がターゲットになりますし、なるべくリスクを抑えたいという法人も対象になります。ただ、その分リターンも少なくなりますので、事業としては魅力が薄れてきます。

やはり、自分たちの事業はどのくらいの店舗規模が適正なのかをじっくりと検討し、店舗サイズを決めることが必要です。同じく、内部の装飾をどこまでお金をかけて作り込むのかを決めないといけません。ターゲットとする利用者に貧弱な印象を与え無い程度にコストを削減し、標準化を図らないとならないのです。

 

まとめ

・FC店舗の開発をする上で、初期投資の額は非常に重要です。景気の波によって、FC本部の訴求の仕方も変わってくる傾向があります。

・サービス業と小売業については初期投資を抑えた形のFCが多い。飲食店は店内での調理と飲食スペースがあるので、投資額がかかるFCが多くなります。

・初期投資額をどうするかは、単に安く抑えれば良いということではなく、どのような店舗を作るのかというモデル店の設計に戻ります。ターゲットとするお客様と店舗の設計によって費用が変わってきますので、適正な店舗を標準モデルとして作り込んでいきましょう。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

 

(編集後記)

3月にMacを買ったばかりなのですが、仕事用のWindowsについても物色しています。MacにWindowsを入れてしまうことも含めて検討してみます。