ミスター牛丼 吉野家 安部修仁元社長からの教訓

本日は企業再建・承継コンサルタント協同組合が主催した「逆境からの企業再建と中小企業の再建現場とは」というセミナーを受講してきました。受講のきっかけは、吉野屋の安部元社長のお話を聞きたかったからです。

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吉野家の経営破綻から学ぶこと

吉野家が経営破綻したのは1980年で、店舗数が猛烈に増えている時の倒産でした。私も当時は10歳でしたので、テレビのコマーシャルやら、キン肉マンの漫画やらで、吉野家はすごく伸びているチェーンという印象がありました。(ちょうどそのころ、キン肉マンの漫画やアニメが大人気でした)

 

経営破綻まで

安部社長いわく、無理しすぎた出店計画だったようです。3年くらいで十数店位だったのが100店舗になったので、来年は200店舗にしようという目標を立てて一気に店舗を増やしに転じたところで無理があったようです。

・1977年 吉野家100店舗達成

→翌年の200店舗突破記念パーティの会場を押さえた

・1980年に倒産、再生の申し立て

(1984年に債務を完済)

 

安部氏の振り返り

・店舗を増やすという方針ありきだったので、出店の基準が甘くなった。通常なら来客予測などをするのに、その辺がいい加減になった。

・店長の教育がまったく不十分だった。アルバイトの教育、店長自身の心構えや接客のレベルが店舗を代表できるレベルでなかった。

・食材の仕入れが間に合わなかった。輸入牛肉の制限があり十分に牛肉を確保できていないまま店舗を増やした。代替品のフリーズドライの肉を使って、味が落ちた上、食材コストがかさみ、客離れと利益率低下を招いた。

・味が落ちているのに値上げしたので一気に客足が遠ざかった。

・1979年に公定歩合が一気に上がった。利払いが苦しい状況になった。

教訓

実際にはこれだけではないと思いますが、これだけ聞くと、店舗を増やす際の計画作りが重要だと改めて感じました。お金と人材教育、そして商品の確保、どれも急にできることではありません。

フランチャイズ展開にすれば、直営と違って出店コストが無くなり、人材は加盟店が採用するのですが、それでも本部コストがかさむようになりますし、加盟店を指導する力量のある人材はそうそう簡単に育成できません。

フランチャイズ本部を作られる方は、最初に店舗を増やすと必要になることを洗い出して、どう拡充していくかの計画作りが肝要です。

 

(あとがき)

安部会長の話を聞いたのは実は2回目で、前回は中野サンプラザでの株主総会でした。創業社長ではないのですが、理路整然とされていて、話も分かりやすくて素晴らしい経営者だなと改めて尊敬しました。