ブランドの価値を考える~VWの排ガス不正のニュースより

世界でも有数の自動車のブランド、VW(フォルクスワーゲン)が排気ガス試験をクリアするために不正の数値を公表していたことが分かり、最高経営責任者が辞任を発表しました。改めてブランド価値について考えてみます。

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ディーゼル車のNOx規制

ディーゼル車はNOx(窒素酸化物)を排出し、大気汚染の原因になるといわれていました。日本でもかつての石原都知事がペットボトルを使ったパフォーマンスでディーゼル車をやり玉にあげ、排ガス規制に対応できない車両については都内中心部への流入を禁止しました。

以前、バスで使われている車両の調査をしたことがあるのですが、都バスが排ガス規制のない地方部に払い下げられたこともありました。

 

近年のクリーンディーゼルブーム

NOx規制で悪者にされてしまったディーゼル車ですが、長所もあります。ディーゼルエンジンには燃費の良さ、日本国内での軽油の安さ、低回転からトルクを発生するという長所があります。国内メーカーだとマツダがディーゼルエンジンを売りにしていますし、ドイツのメーカーは「クリーンディーゼル」を旗印に、ディーゼル車の販売シェアを増やしていました。

日本では元々乗用車ではガソリン車が人気がありましたが、ドイツの環境先進技術のイメージもあって、ドイツ車のシェアが高まっているところでした。

 

VWの不正は、ディーゼル車全体のイメージを損ねる

国産メーカーがミニバンを中心とした品揃えに移行したこともあって、セダンやツーリングワゴンを買おうと思うと、自然とドイツ車も選択肢に入ってきます。そして、「クリーンディーゼル」と言われると、環境に良いことをしているのかという錯覚が生じます。

実際、ハイブリッドカーといっても極端に燃費が良いわけではなく、ガソリン車からディーゼル車に乗り換えれば、同じように燃料代が下がります。トルクがあってパワフルでハイブリッドカーと燃費が変わらないから、ディーゼル車でも良いではないかというのがユーザー心理でした。

今回のニュースはVWが米国市場向けでの試験をクリアするための不正ですが、「クリーンディーゼル」というイメージそのものが悪化することでしょう。これまで、ディーゼル車であっても環境に配慮しているということをPRしてきた努力が失われてしまうことでしょう。

自動車市場は、多くのメーカーがハイブリッドを取り入れ、燃費向上が重要なテーマになっています。ディーゼルでも環境に配慮されていることをPRしていたメーカーにとっては、VWの不正によってディーゼル車そのもののイメージが悪化してしまうことでしょう。

ブランドは築き上げていくときはコツコツと地道な取組であり、長い時間がかかりますが、ブランドが壊れてしまう時は一瞬のことです。企業といえども地域社会の住民であることを改めて認識しました。
フランチャイズはブランドビジネスの側面があります。本部として不正を働かないことはもちろんですが、加盟店も含めて、築き上げてきたブランドを守るために、不正なことは絶対にしない企業文化を作っていかなくてはなりません。そのためにも、FC本部構築の時点から「ブランドを作っていく」ことが重要です。

 

私、山下哲博は調査とフランチャイズを専門分野とする、小規模事業者のビジネスサポーターです。創業やフランチャイズを含む多店舗展開、店舗の売上向上など、サポートしている他、業界全体を俯瞰してトレンドを整理する市場調査を得意としています。最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

あとがき

シルバーウィークはゆっくりと休ませていただきました。涼しくなってきて、そろそろギアを変えて年末まで突っ走りたいと考えています。