ボルボがEVに特化、イノベーションはすぐそこにやってくる

ボルボが2019年以降に販売する車は電気自動車(EV)かハイブリッド(HV)にするという報道がありました。その後、フランスでも2040年までにガソリンやディーゼルのエンジンを用いた車両の販売を禁止する方針が発表されています。

ガソリンやディーゼルなどのエンジンからEVへの移行は決定的なようです。

自動車業界、脱・エンジンの動き

世界中で自動車の普及が爆発的に進んでいるのと引き替えに、環境規制が厳しくなっています。増え続ける自動車が排気ガスを出し続けることで、世界規模での環境悪化が避けられなくなるからです。

20世紀においては排気ガスの成分に対して規制がかけられていましたが、21世紀にはいってからはエンジンと電気モーターの組み合わせであるハイブリッドカーが普及してきました。その他にも、電気自動車や水素自動車が実用化されていますが、現時点では充電しながら使う電気自動車やプラグインのハイブリッドカーが現実解になってきました。

 

ボルボが最初に「脱エンジン」を公約した意義

ボルボといえば、消費者のイメージは「安全な車」という評価です。かつては頑丈なボディで乗員の安全を守れることを訴求していましたが、今は緊急時の自動ブレーキなどの運転サポートを訴求しています。

そして、2019年からエンジンを搭載した乗用車を販売しないと公約したことで、環境対応についても世界トップという評価になるでしょう。完成車メーカーはエンジン技術においてこれまで独自の技術を磨いてきていますので、ハイブリッドや電気自動車といったパワーユニットでは優位性を築くのは容易ではありません。EVの分野はしばらくは進行メーカーが先行するのかと思っていましたので、優位性よりも「世界初のEVに完全転向した自動車メーカー」という称号を得て、環境対応もボルボだというイメージを植え付けようということだと思います。

 

イノベーションのジレンマ

『イノベーションのジレンマ』という理論があります。既存のプレイヤーは製品改良を重ねていくものの、今ある製品の改良に留まるので、スペックを良くすることに主眼が置かれる。その一方で、これまで積み重ねられてきた技術を一気に陳腐化してしまうイノベーションは業界の外から出てくるというものです。

音楽で言えば、レコードがCDに変わり、その後はダウンロードが中心になりました。パソコンの記憶媒体もフロッピーディスク、CD、DVD、USBメモリ、クラウドストレージに変わってきています。

これまでガソリンやディーゼルの内燃機関(エンジン)を磨き上げ、エンジンの出力を最適化するトランスミッションのイノベーションを進めてきた自動車メーカーにとっては、これまで積み重ねてきた技術を捨てて、新興企業と真っ向から競争せざるを得ないEV(電気自動車)化は先送りしたいのが本音だと思います。

ただ、ボルボが2019年からエンジンの車両を販売しないと宣言したことで、自動車メーカーの取り組みが大きく変わると思います。ハイブリッドカーについてはトヨタがこれまで先行していましたが、今後の自動車メーカーの動きに注目したいと考えています。

 

◆自己紹介

私、山下哲博は、これから創業する方、少人数でビジネスをされている方に特化したビジネスコンサルタント(中小企業診断士)です。

・これから創業したい

・ひとりビジネス〜3,4名程度の事業主で相談相手が欲しい

・フランチャイズに加盟してみようかと考えている

こんな方に役立つよう、自分の仕事の中からヒントになるものが有ればよいとブログを書いています。

 

あとがき

ボルボはドイツや米国の大メーカーと異なり、スウェーデンの規模の小さなメーカーです。それでも安全性や環境対応といった切り口で独自のポジションを築こうとしているのはすごいことです。新しいことにチャレンジしていくという社風が徹底しているのだと思います。