事業再構築補助金で「フランチャイズ化」も補助金対象になることが公表されました。
実際の公募要領は出ていませんが、当方の得意分野であるフランチャイズ展開と事業再構築補助金とを結びつけてみます。
事業再構築とは
事業再構築補助金のFAQでは「新分野展開や業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等」と定義されています。
・新しい事業分野への進出:新しいサービスの提供、新しい市場分野への進出
・業態の転換:店舗での提供をネットやデリバリーでの提供に変更
・業種の転換:卸売業から小売りに進出、上流工程の製造に進出など
これらの取組によってM&Aや規模の拡大に取り組む事業者に対しては、事業再構築補助金の対象になるようです。補助の金額は通常枠で100万円から6,000万円の補助を出し、補助率は2/3です。例えば、9,000万円の投資に対して6,000万円の補助が出ます。
事業再構築補助金の補助項目
この補助金の主要経費は4つです。普通の補助金は設備やシステムが対象なので、建物そのものを対象にするのは珍しいです。
・建物費(建築、改装)
・建物撤去費
・設備費
・システム購入費
関連経費として、外注費や技術導入費、研修費、販促費、リース費などがありますが、主要経費に投資した上での補助になります。
フランチャイズによる事業再構築のストーリー
フランチャイズは既に成功しているパッケージをフランチャイズ本部から指導してもらって立ち上げますので、経験の無い分野であれば、初期段階で失敗しがちなところを的確にサポートしてもらえます。百発百中のビジネスはありませんが、自分たちで未経験の分野に取り組むよりも成功確率は上がります。
ただ、コロナウイルスによって事業環境が変わっていますので、このようなビジネスを狙ってみると良いのではないでしょうか。
ストーリー①会員制のビジネス
コロナウイルスについては、ワクチンが開発されても万能ではありませんので、しばらくは大勢の人数が密集することは続いていきます。これまではいろいろな人が集まってくることに価値があった面がありますが、今後は属性の似た人たちがコミュニティを作る、「会員制のビジネス」が増えてくるのではないかと考えられます。
多くの人に利用してもらうというよりは、きちんと除菌などの衛生面を担保したうえで、限られたコミュニティ向けにサービスを提供するビジネスが増えていくのではないかと考えられます。不特定多数から特定少数へという流れです。そして、料金については少人数向けのサービスでも継続できるよう、高額なものが増えていくのではないかと予想しています。
今までは「客回転」といった指標が重要で、限られたスペースで利用者を何回転させるかという点が営業効率の高さとして求められましたが、それよりも1組当たりでしっかりと付加価値を高めた上で高単価なサービスが主流になっていくでしょう。
いわば、価格訴求から、安全・安心、ニッチなニーズをとらえた会員制のサービスが増えていくのではないかと。
事業再構築補助金を使えば、除菌など衛生面を整えるための設備導入、サービス提供スペースの個室化、接客スペースの拡張などに投資することが可能になります。そういったことを意識しているフランチャイズを選ぶとwithコロナの状況では差別化につながります。
ストーリー②セルフ型のビジネス
これまでは密着したサービスやおもてなしに価値がありましたが、この先は必ずしも対面型サービスが好まれなくなるでしょう。例えば、リラクゼーションサービスであれば、サービス提供者がお客様に寄り添って密着したサービスを提供していましたが、密着を避けられる場面では設備を使ってセルフで操作してもらうことが求められます。
リラクゼーションだけでなく、整体などの治療行為、カウンセリングやコンサルティングといった対話についてもオンラインを活用した非対面のサービスに転換してきています。
非対面の仕組みを構築し、ある程度エンドユーザーに認知された事業が支持されるようになるものと思われます。
事業再構築補助金を使えば、設備の導入などに補助金が出ますので、投資額を押さえて新しい事業(フランチャイズ)に取り組むことが可能です。サービス提供プロセスにおいて、対人接触を意図的に減らしているフランチャイズで事業内容に興味があれば検討してみても良いのではないかと考えます。
ストーリー③兼業、副業型のビジネス
これまでは不特定多数の人が集まってくる便利な場所、家賃の高い地域の店舗やオフィスに価値がありましたが、これからは場所や規模によるステータスに意味はなくなってきます。
求められるのは、お困りごとを抱えた方の「お悩み解決」といった本質的な部分になりますので、個人や副業といった取り組み方でもチャンスは出てくるのではないかと考えています。
ただ、一事業者、個人での経験には限度があります。
多くの利用者を抱え、様々な問題解決を各店舗で行っていて、各店舗(拠点)で情報共有をしていくような運営をしているフランチャイズ本部には魅力があります。
フランチャイズ加盟に伴う加盟金などには補助金を使うことはできませんが、システム構築や研修受講などには費用を使えますので、兼業や副業といった形で新しいビジネスを立ち上げることは可能です。決まった形のパッケージを押し付けるのではなく、加盟店との距離が近く、現場で起こっていることに耳を傾けるフランチャイズ本部があれば、検討してみても良いかもしれません。
事業再構築をお考えの方に
補助金が出るから新しいことに挑戦するというわけではないですが、事業環境が変わってしまい、しばらくは元に戻らない状況が続くと考えています。事業の基本は、自社を取り巻く状況を事業機会、事業上の脅威に分類し、自社の強みの部分を事業機会に集中させることですが、フランチャイズを上手く活用すれば、自社の強みを外部から補強することができます。
今は下請け仕事しかしていなくて、仕事が止まっているので・・・給付金ないかなという発想ではなく、これから社会が・・・になっていくので、フランチャイズや補助金を活用して悩み解決に取り組んでいきたいという発想の方が明るい未来が待っているのではないでしょうか。
スタートは補助金であっても、申請書=事業計画になりますので、今後の事業を考える良い機会になると思います。フランチャイズを絡めた事業再構築であれば、是非ご相談ください。
当方はフランチャイズと補助金申請の両方に経験がありますので、お役に立てるかと思います。
まずはお気軽にお問い合わせください。