毎年発刊されている中小企業白書ですが、今年は生産性向上に取り組む中小企業が中心です。昨年の倍以上の113件の事例が紹介されているとのことです。
中小企業白書
中小企業白書は毎年発行されている白書で、中小企業基本法に基づく年次報告という位置づけです。2018年版で55冊目と、法律で定められている白書の中では最も多い発行数とのことです(中小企業庁からの説明)。
なお、中小企業白書だけでなく、小規模企業白書も発行され、2018年版で4回目とのことでした。こちらは小規模企業振興基本法に基づく冊子です。
白書のテーマ
毎年、白書のテーマとして取り上げられている内容については、中小企業支援のテーマとして直結しています。
2017年版:中小企業のライフサイクル(起業、承継、新事業展開、人材不足克服)
2016年版:稼げる中小企業の取り組み(生産性向上のためのIT活用、海外展開、リスクマネジメント)
2015年版:中小企業の更なる飛躍(イノベーション、販路開拓、人材確保・育成)
今回の2018年は「生産性向上」がテーマで、人手不足への対応、業務プロセス見直し、多能工化、IT導入、外部との連携などが掘り下げられています。
2018年白書、現状分析
白書によると、中小企業の経常利益は過去最高の水準に達していて、景況感も改善方向にあり、都市と地方の格差も縮小しているようです。日銀短観で、中小企業が景況感がプラスになったのは1987-92年のバブル期以来ということです。
ただ、大企業との生産性向上度合いに格差があるようで、大企業の生産性が10年で製造業32%、非製造業23%向上しているのに対し、中小企業は製造業9.6%、非製造業7.1%の向上に留まっているようです。
2018年白書、テーマ別分析
今回の白書では8つの分析がされています。
・深刻化する人手不足、女性・シニア層の掘り起こしが課題
・IT導入を行う上でも、業務プロセスの見直しは生産性向上の大前提
・幅広い業種で多能工化・兼任化の取組が進展、生産性向上に寄与
・IT導入のきっかけは地元のITベンダーなど身近な相談相手
・業務領域や一起業の枠を超えて連携することで、ITの効果は飛躍的に向上
・生産性向上には前向きな投資が重要
・経営者の高齢化から休廃業・解散が高水準、事業承継を背景に中小企業のM&Aが加速
・中小企業のM&Aは生産性向上に寄与。今後はマッチング強化が課題
今回は特に、人手不足ということが現場では深刻な事態になっているように感じます。
中小企業の取り組むべき事
今回、小規模企業白書では「小規模事業者では経営者に業務が集中、IT導入による経営者の業務効率化が課題」を記されています。これは、小規模事業者(従業員20人以下、流通・サービスでは5名以下)に顕著として紹介されていますが、多くの会社で考えるべき事だと感じます。
特に、週末も含めて滅私奉公で仕事に取り組む経営者が多いので余計にそう思うのですが、ITで効率化したり、権限を委譲したりすることで、経営者が本来取り組むべきことをやるべきなのではないかと思います。
例えば、経理のことを考えたり、営業の最前線に出たりとについては、小さな会社であれば経営者がやるべきですが、規模が大きくなったら誰かに任せていくべきでしょう。
経営者でないと出来ない、経営の次の一手を考えたり、資金を確保したり、従業員に対してリーダーシップを発揮したりという業務は、経営者でないとできない仕事です。
業務の効率化といっても、それを指示して社内を引っ張っていく管理職が必要になりますので、管理職を育てていくのが代表者の仕事です。
次の経営のことを一緒になって考えていくのが中小企業診断士の仕事になりますので、経営者の右腕になるべく、外部のスタッフとして支えていくことが自分の仕事です。経営者のサポート役、社内にいなければそういう人材作りからお手伝いいたします。
◆自己紹介
私、山下哲博は、経営革新等認定支援機関の登録をしているビジネスコンサルタント(中小企業診断士)です。
得意分野はフランチャイズの本部立ち上げですが、会社の成長につながる経営計画作り、補助金申請など、ビジネスの成長、新規立ち上げをサポートしています。
・創業時の創業計画、創業融資獲得
・店舗の収支改善、集客、多店舗展開・フランチャイズ展開→ハンズオンで支援します
・資金調達のための事業計画(銀行から言われたら一緒に作成します)
・日本政策金融公庫の経営力強化資金(通常より低利です)
・新しいことに挑戦する経営革新計画、経営力向上計画
・ものづくり補助金など、補助金申請
・会社の成長戦略を描くための早期経営改善計画(費用の3分の2は補助金使えます)
特に得意なのはサービス業、リサイクルビジネスです。
このブログは情報発信のために平日はほぼ毎日書いています。
あとがき
今日の中小企業白書のセミナーは正味75分程度でしたが、人が書いた資料を読んで発表聴いてで大変スムーズに頭に入りました。耳から聞いて目で見て、メモとりながら考えるのが自分にとっては一番捗ります。