法人成りの初年度、減価償却費の計算方法に注意〜個人と計算方法が違います

自分は今年から会社組織にしましたが、その前は個人事業でした。初年度の決算について税理士さんと着地予想をしていて、金額が大きく違いました。個人の時と法人では減価償却費の計算方法が届出をしないと異なるようです。

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減価償却費

減価償却は、金額の大きい資産を購入した際に、購入金額の全額を費用計上するのではなく、一旦資産計上して、少しずつ費用計上していくものです。

実際には現金などで支払いを済ませているのですが、後から費用になります。企業の収益力を計算するときは「営業利益+減価償却費」などで計算しますが、いわゆる「経常利益」や「最終利益(税引き後の利益)」を計算するときは減価償却費を引いて計算します。

 

個人の時の減価償却費

個人事業の時は、パソコンなどを購入した際、一括で費用に落とさない限りは減価償却費にします。パソコンは耐用年数が4年と定められていますので、48で割った金額を月額で償却していきます。

24万円のパソコンであれば、毎月5千円ずつ費用に計上します。10万円以下であれば費用にしますが、それを超えると資産計上するのが原則です。

※30万未満であれば、一括償却=取得年度に全額費用にすることもできます。

 

法人成りしたときの減価償却費

自分の場合は、法人成りしたときの簿価(取得額—累積減価償却費用)を資産として計上しました。それは会社の財産になります。

そして、会社に引き継いだときの簿価は定率法として償却していくのが原則のようです。定率法は月額定額ではなく、最初に大きく費用計上し、段々と費用の割合が少なくなります。最初に費用として落とせるので、会社の利益を圧縮出来る点は良いのですが、会社の初年度は何かと費用がかかりますので、定額法にすると費用負担が大きいです。
→簿価20万のパソコンが2年目を迎えた際、定額法だと年間5万円(定額法だと20万÷4)ですが、定率法だと15万円×0.625=9.35万円になります。

少なくとも、個人事業のときから引き継いでいるものがあると、急に償却費用が上がる感覚です。

減価償却費と最終利益(経常利益)

減価償却費は月々の収支管理を行っているところでは出てきません。通常は、月の売上と費用を計算して「月次試算表」を作ると思いますが、減価償却費は年度で締めたときに計算して出てくる費用です。普段は営業利益ベースで計算をしているので、最後の最後に出てきます。

自分は、個人事業だったころの減価償却費が「定額法」だったので、黒字になりそうだと判断していましたが、法人にしたことで、古いパソコンなどが全て「定率法」で計算するのが原則と言われて慌てました。定額法だと問題なく黒字なのですが、定率法だと初年度から赤字になってしまいます。そもそも、減価償却費を苦にしない位の利益額が出ていればよいのですが、最終月にキャンセルになった仕事が2件ほどありまして、最後はギリギリになりました。

 

法人設立の1年目は赤字でも問題ないという考え方もありますが、何かのチャンスが出現して資金調達をすることもあるかも知れません。赤字決算だと金融機関からは評価されませんので、何とか黒字にする予定です。

こういったことは税理士さんにお願いしていることから分かったことです。やはり、その道のプロのご意見・助言はありがたいと思いました。

 

 

◆自己紹介

私、山下哲博はサービス業や流通業の小規模事業者向けのビジネスコンサルタント(中小企業診断士)です。

・フランチャイズを中心とした創業

→本部選びや創業時の計画、創業時の融資獲得

・フランチャイズ化とのれん分け

→多店舗展開、店舗の収益力向上

・補助金や融資などの経営計画づくり

→認定支援機関として、補助金の計画作成や日本政策金融公庫と連携した
融資サポート

これまで経験してきたことを元に、難しいことを分かりやすく、経営者のこれからの道筋が明確になるよう、サポートさせていただきます。

 

あとがき

今日は今年最後の「接待交際費」を使う機会でした。この後は仕事での飲み会はありません。