FCの代表的業種として飲食業があります。一般的に、飲食業は流行廃りのサイクルが激しく、新しくできるお店があれば、なくなっていくお店も沢山あります。それは飲食業のFCであっても同じで、新しいメニューを開発したり、新しい名称のチェーンを展開したりと、常に新しいことに取り組んでいる業界でもあります。今回はFCの3分類(小売・飲食・サービス)の一つ、飲食業FCの状況について解説します。
FC加盟者向け基礎知識:④飲食業FC
FCの統計として一般的な、日本フランチャイズチェーンが公表している「フランチャイズチェーン統計調査」の最新の動向を見てみましょう。
(出所:日本フランチャイズチェーン協会 統計資料)
外食FCの分類
外食業FCの売上割合はFC全体の約17%の約4,032億円です。そして、その約半分である約2,101億円をファストフードが占めています。ファストフードというと、牛丼やハンバーガーを連想するのですが、一番多いのは持ち帰りのお弁当や寿司店になっています。飲食業の場合、店内で食べてもらう場合は、座席の数以上に稼ぐことはできません。そして、ランチやディナーなどのピークタイムは決まっていますので、座席数で最大売上が決まってしまいます。
その点、持ち帰りの業態であればピークタイムに合わせて作り置きすることができますので、座席数とは関係なく売上を伸ばすことが可能になります。FCに限らず、飲食業で売上を伸ばすにはテイクアウト商品を作れるかどうかは重要でしょう。
そして、一般レストラン、居酒屋・パブ、コーヒーショップと続きます。一般レストランは和洋中のメニューに加えて、焼き肉屋などもありますので、非常にバラエティに富んでいますし、居酒屋もさまざまな業態があります。それに比べると、コーヒーショップに関してはセルフサービスとフルサービスの違いはあっても、それほど様々なタイプの業態があるわけではありません。それでも、コーヒーショップだけで、全国に41のチェーンと約5,300店があり、コーヒーの需要の大きさが伺えます。
1店舗ごと売上の考察
そして、業態ごとの「1店舗ごと売上」を比較検討してみましょう
(前述統計資料を編集)
一般レストランについては、1店舗ごと売上が約9千万円と一番多くなっていますが、提供するメニューを考えると当然に思えます。そして、意外なのがコーヒーショップの売り上げです。ファストフードや居酒屋よりも多いのです。客単価については居酒屋よりも小さく、ファストフードほど客回転が高くないように思われるのですが、テイクアウトを上手く使っているということと、食事がメインでないために極端なピークタイムがなく、長い時間で利用者を見込めるということなのでしょう。
コーヒーショップについては、安い単価を前面に出したセルフ式によってチェーン展開が進み、スターバックスなどの高価格セルフ業態が出て、最近はフルサービス型カフェで様々な業態が出ています。団塊の世代の退職に伴うシニア層の利用や、モバイル機器などを利用したワークスタイルの多様化などによって、カフェを利用するシーンが増えていると言えるでしょう。また、漫画喫茶などの複合カフェ業態もFC展開していますので、カフェといってもさまざまな業態があります。FCで開業してみようと考える際には、店舗を利用する人はどのような人で、どのようなニーズがあるのかを十分に検討した方がよさそうです。
なお、飲食業FC全般に言えることですが、FCに加盟することで、チェーンの良いイメージを継承することができますが、逆にチェーン全体に逆風が吹くこともあります(牛肉のBSE問題など、自社だけでは対応できない問題が発生する可能性があります)。
その時に重要になってくるのは、なぜ自分がそのFCを選んだか?ということです。流行っているからという理由だけでなく、このチェーンの一員になって何をしたいのかということは十分に考えてからFC加盟すべきです。
まとめ
・飲食業FCの半分強はファストフード。ハンバーガーや牛丼などよりも持ち帰り弁当の売り上げの方が大きくなっています。
・飲食業の定めとして、ピークタイム問題があります。ピーク時には店内の座席が埋まるのですが、その他の時間は閑散としてしまうのが課題です。持ち帰り商品を用意するなど、店内売上以外を開拓できると売上を増やし、経営が安定するでしょう。
・コーヒーショップの1店舗あたり売り上げはファストフードや居酒屋よりも大きくなっています。コーヒーは嗜好品でもあり、ライフスタイルでもあることから、様々な需要を作り出すことができます。
(編集後記)
昨日、ブログのテーマを変更したところ、今まで不満に感じていたレイアウトが全て改善されました。WordPressについてまだまだ知らないことだらけですが、昨日はとても感動しました。