調査のお仕事と中小企業診断士の価値

年に1~2回、自動車流通に関係する調査の委託を受けて原稿を書いています。これまでは、とある調査系の会社の自動車部というセクションから直接依頼を受けていたのですが、急に統括本部の方から呼ばれました。他の部署の仕事も発注したいので専門分野を確認したいとの申し出でした。

あなたの専門は何ですか?

専門家として仕事をしていると、必ず聞かれることです。当たり前のことなのですが、独立当初は専門と言い切れるだけの専門性や経験が無かったので、このように聞かれるのは苦痛でした。

中小企業診断士は税理士や弁護士と違って、この分野の専門家と言い切れる部分がありません。企業経営について学んではいるのですが、様々な業種もありますし、企業の置かれた環境はそれぞれ異なります。そのため、どういう分野の仕事が得意なのか、どのような指導実績を有しているのかについては、どこに行っても聞かれるのです。

 

中小企業診断士の専門性

中小企業診断士は専門家の中ではフィールドが広く、会社経営者と金融機関や行政の担当者、弁護士のような専門家と橋渡しをするのが役割です。そのため、特別な分野の専門知識を持っている方々に対し、話を一般化することが求められます。例えば、私は決して製造業の専門家といえる職務経験はありませんが、こういう機械を導入すれば経営がどう改善されるかということについては判断がつきます。

 

製造業の申請書を書く際には「生産プロセスの革新」と仰々しく書きます。今までのやり方をしていたら3人必要でMAXの生産量が1000だったのが、何らかの取組によって、2人で3000の生産量をこなせるようにできるようにする、それを論理立てて説明するのが私の仕事です。大げさですが、実績としては「革新」をなしえるということになるのです。

こういったことを、経営者や技術者から聞き出して、それを読んだ人が分かるような文書にすること、それが中小企業診断士の価値ではないかと思います。

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現場仕事は専門的な技能に支えられているのですが、現場で起きている「どうして?」を集めることで、経営全般の課題と捉え、課題解決を図り、それを現場に下ろしていくことが肝心です。中小企業診断士といっても、それぞれの専門性も仕事の仕方も幅広いのですが、私は上の図にあるような①現場のなぜ?を拾って課題として設定し、②課題解決の方策を図るのが仕事だと思っています。

 

今回、調査の仕事から書き進めましたが、中小企業診断士の調査の価値は現場で起こっていることを普遍的なものに置き換える能力の高さだと考えています。これからも精進してリピートオーダーをいただけるようベストを尽くしたいと思います。

 

あとがき

今日は表参道(最寄り駅から徒歩12分)⇒新宿(最寄り駅から徒歩20分)⇒中野坂上(駅前)⇒下高井戸(駅前)と移動がたくさんありました。電車で回ったら効率が悪いので、天気も良いので自転車で回りました。移動距離25キロ、風も爽やかで素晴らしい一日になりました。