中小企業診断士の資格を持っていても、補助金の申請や経営改善計画の策定には認定支援機関の関与が必要です。中身は経営計画の策定なので、中小企業診断士にとってこれまでの業務と特段変わらないように感じますが、そう位置づけられてしまったので仕方ありません。半年がかりで研修を受け、ようやく申請する段になりましたので、申請について記してみます。
長い研修を受けて、試験をクリアして、申請可能になる
経営革新計画等を3件書いていれば、研修を受ける必要はありません。ただ、経営革新計画は手間がかかる割に、計画策定による直接的なメリット(補助金)が設定されていないので、公的な機関からの派遣でないとなかなか経営革新計画を作りましょうという話になりません。
自分は補助金の申請をお手伝いする中で、最後に認定支援機関に話を持って行くのが煩わしくなって、自分自身が認定支援機関になることにしました。2種類の研修に延べ19日間通って、2回の試験に受かる必要があります。
試験は対策をしていれば大丈夫だとは思いますが、何人かは落ちるんだろうなという内容です。周りでも高名な先生が試験に失敗したという話もありますので、それなりに試験勉強をして臨みました。
試験が終わると、合格通知が来ます。「え、それだけ?」と思うのですが、特段案内は入っていません。仕方ないのでネットで検索して、自分の場合は関東経済局の案内を見ます。「経営革新等支援機関の認定申請はこちらから」というリンクを開くと申請のことが書いてあります。(2015年10月時点、関東版)
http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/chusho/20120830keieikakushin_nintei_shinsei.html
しかし、どの書類を送れば良いのか、一覧で書いてありません。何回も読み返して、経済局に電話して聞いたのですが、「必要な書類は申請者によって異なるので、ホームページを見て必要だと思う書類を送ってください」と案内されました。
送付した書類
①認定申請書
②専門的知識を有する証明書様式
③中小企業の実務経験を有する証明書
④誓約書
⑤確定申告書類
(青色申告決算書、確定申告書1表、2表、※売上内訳)
*⑥資格証(中小企業診断士など公的資格を持つ者)
*最初の送付の時には漏れていたので、後から送りました。
注意事項(私がつまづいた箇所)
① 認定申請書
・宛先は「財務局長」「経済産業局長」の両方を書く
→関東の場合は局長2名の名前がHPに書いてありました。
・申請者の住所は直近の確定申告時の住所(個人の場合)
・事業基盤
確定申告書3期分の実績数値が必要
自分の場合は3期前は収入の8割が公的機関からのものでした。そして、当時は街中の賃貸マンションを事務所として使っていたので、その分の経費が掛かっていました。給与に家賃を経費計上するわけにもいかず、事業収入から家賃や通信費、交通費を引いたので事業収入が赤字になりました。
それは、添付した売上内訳を見れば一目瞭然なのですが、上記内容の説明とご配慮のお願いを追記しました。
②専門的知識を有する証明書様式
こちらは、経営革新計画を3件書いたのであれば、支援者の氏名、計画の内容、認定番号、認定日を書いて、「支援者からの関与を有する証明書(要、事業者の会社印)」を添付します。
研修であれば、計画内容に「別添の通り指定された研修(理論研修)に合格」と書いて、認定日に試験合格日を書いて、試験合格証を添付します。
③中小企業の実務経験を有する証明書
この証明書は2種類あります。
・実務経験証明書(経営革新等支援業務1年以上)
・実務経験証明書(中小企業に対する支援3年以上)
それぞれ、実務者の氏名、所属部署、実務経験の内容、実務経験年数を記載します。こちらは特段フォーマットがないので、自己申告で良さそうです。ただ、人によっては追加書類の請求があるのではないかと推測されます。それもあって、申請書類一覧という形で案内が無いのではないかと。
試験に合格した場合は、実務経験の欄に「中小企業経営改善計画策定支援研修(実践研修)修了、実践力判定試験合格」と書いて、実務経験年数の欄に試験合格日を書けばOKです。
④誓約書
・申請者の住所は直近の確定申告時の住所(個人の場合)
ポイントはこの位です。
⑤確定申告書類
・3期分コピーしました。私の場合、前述の通り給与収入としてもらっていたことで事業で赤字計上したことがあったので、その説明のために売上の内訳も追加しました。
弁解するわけではありませんが、確定申告は7年やっていまして、赤字で申告したのはその期だけです。また、初年度よりサラリーマンの時の年収は超えています(会社員時代が薄給だったという事情もありますが・・・)。
書類およびCD−R提出
上記書類は、①〜⑤を2セット印刷して押印して提出する必要があります。
申請者が2箇所(財務局長、経済産業局長)だからです。
そして、①〜④はCD−Rに焼いてデータで送る必要もあります。
忘れてはならないのが「返信用封筒」です。
書類送付後
書類を送ると、先方で内容をチェックして、足りないもの、修正が必要なものについて連絡がきます。
自分の場合は①、④の住所の部分、①の事業赤字計上理由の更なる説明を指摘され、訂正・押印して送るように指示がありました。
加えて、⑥についてはメールで送ってくれればOKという案内でした。ただ、⑥についてはホームページに案内がありません。指摘されればその通りなのですが、多くの人はそこで指示されて送っているのだろうなと感じました。最も、民間コンサルタントの方も多いので、資格証とは表だって書けないのでしょう。
書類を訂正して送ったら、翌日に「書類が揃ったので、認定審査の作業を進める」という案内をいただきました。
認定支援機関の制度が始まって、認定支援機関の大半は税理士の先生です。ただ、税務申告の仕事と事業計画を作ることはイコールではありませんので、多くの認定支援機関は機能していないと言われています。
一方で、わざわざ時間とお金を使って認定支援機関になるための準備をしてきた専門家も多数います。この制度の本来の趣旨に従って、経営革新を企てる企業の創出、経営改善計画の策定によって業績を回復する企業の創出に貢献したいと考えています。
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私、山下哲博は資金調達サポートとフランチャイズを専門分野とする小規模事業者のビジネスサポーターです。企業の成長戦略をサポートすることで、地域にビジネスの芽が定着できるようお手伝いしています。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
あとがき
昨日、事業承継と経営革新というテーマのセミナーを受講しました。経営者が代替わりするタイミングで、後継者がインターネットを活用して自らの事業に関する情報発信を積極的に行うというお話には参考になる所が沢山ありました。これからは既得権や既存の販路にしがみついているだけではダメだということを改めて感じました。