今回はFCの中で最も売上比率の高い小売業FCについて解説します。
どのFCが一番儲かるかを考える前に、どういうFCがあるのか、トレンドについて紹介します。
FC加盟者向け基礎知識:③小売業FC
FCの統計として一般的な、日本フランチャイズチェーンが公表している「フランチャイズチェーン統計調査」の最新の動向を見てみましょう。
1.コンビニエンスストア
小売業FCの売上高は全体で15.7兆円なのですが、そのうち約6割をしめるのがコンビニエンスストアです。コンビニ飽和説が幾度となくささやかれていますが、今のところは店舗数の増加を背景に売上高もまだまだ伸ばしています。ただ、店舗数が前年比105.4%に増えているのに対し、売上高は102.5%の伸びにとどまっている点は気になります。(1店舗当たりの売上は減少)。
もちろん、チェーンごとの売上動向を精査する必要はありますが、全体のデータとしては把握しておいた方が良いのです。
FC加盟を検討するときに、本部で説明してくれる人は店舗を増やすという役割を与えられていますので、どうしても「FCに入って欲しい」という説明になりがちです。そのため、本部担当者の話だけを聞いていると、「このFCは有望なのではないか」と感じてしまいます。
そのため、全体の傾向をとらえた上で、本当に加盟して大丈夫か?と検討した方がよさそうです。
2.中古品小売(リサイクル)
フランチャイズショーなどの展示会に行くと、多くのリサイクル事業者が出展しています。リサイクルの魅力は「一物一価」であることです。新品の商品は販売価格が決まっていて、卸値もだいたい決まっているので、商品ごとの利幅は一定です。それに対して中古品は仕入の相場もそれほど一般的に決まっているものでもなく、販売価格も商品ごとにバラバラです。
リサイクル品で最も市場が大きいのは自動車です。同じトヨタのプリウスでも、年式、走行距離、内装の状態によって販売価格は異なります。中には新品を上回る価格が付いているものもあるのです。これは、安く仕入れて高く販売することが可能になることを意味します。
携帯電話、宝飾品など、様々なリサイクルFCがありますので、いろいろと商売のからくりを聞いてみることをお勧めしますが、最重要確認ポイントをお教えします。それは、「商品を下取りする際の価格の付け方」です。中には、インターネットで相場を調べて、相手が納得する価格を提示するだけというFCもあるので要注意です。
3.その他小売業
小売業は商品を仕入れて、販売する商売です。FCでは総合的な品揃えというよりも専門的な分野に特化するのが大半ですが、中には100円ショップのような総合的な品揃え+価格の安さを売りにしている業態があります。
→商品を絞って「差別化戦略」を取るか、品揃えを広げて「コストリーダーシップ戦略」でいくかの違いになります。
一般向けのFC募集はせずに、既存事業者を対象にするFCも多い。例えば、電気店などは、既存の店舗が大手電気店のFCに加盟して仕入交渉力を向上するケースが多いです。
また、小売業FC全般に言えることですが、商品を仕入れるための仕入資金が必要になります。総合的な品揃えになるほど、仕入の資金がかかるので、事業計画を作成する際には資金確保に余裕を持たせておきましょう。自動車、貴金属等は特に買取資金が必要になります。なお、コンビニエンスストアの場合は店頭に並ぶ商品の仕入れ資金は本部が貸し付ける制度があります。詳しくは加盟を検討する際に本部に確認しましょう。
(余談)自動車の買い取りの場合は週末の度に1000万円以上の資金が必要になります。せっかく査定に来てくれても、資金が無くて買えなくなると機会損失が発生するだけでなく、買い取りできなかった方から良くない評判が口コミで広がり、地域における店舗イメージが長期にわたって下がってしまいます。
買取商売の場合は、「地域ナンバー1」であると、比較検討の際に必ず選択肢として入りますが、それ以外はどこを比較しても同じと考えられてしまうので、査定件数が大きく下がってしまします。
まとめ
・小売業のFCの6割はコンビニエンスストア。コンビニエンスストア全体としては増店していることもあり、売上は伸び続けています。ただ、加盟を検討する際は、1店舗当たりの売上高が下がっている点に留意し、実際に出店する地域の状況を考慮する必要があります。
・コンビニエンスストアに続いて勢いがあるのはリサイクルFC。リサイクルの場合は、査定(買取の価格決定)の方法を確認しましょう。
・専門品に特化した業態か、価格の安さを前面に出した総合的な品揃えに分かれています。品揃えが多いと、商品の仕入れ資金がかさむ傾向があるので資金を十分に確保しておきましょう。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
(編集後記)
昨日からコワーキングスペースで作業するようになりました。カフェと違って堂々と仕事できるのではかどります。新宿や渋谷に行けばコワーキングは沢山ありますが、私は歩いて行ける範囲でじっくりと使わせていただきます。