コロナ禍における、新事業検討(経営改善)事例①販売ターゲット変更

2021年2月現在、2回目の緊急事態宣言とその延長という状況にあり、飲食店の休業または営業時間短縮要請が続いています。いずれは落ち着いてくるとは思いますが、飲食以外にも影響を受けている業種は多く、本業が大きく落ち込んでいる事業者様も多いと思います。状況打開のための新事業提案という内容で事例を紹介しますので参考にしていただければ幸いです。

新事業立ち上げのセオリー

新事業立ち上げには様々な理由があるかと思いますが、大きく言えばこんな感じでしょう。

・今の事業を少し広げて売上を増やしたい
・世の中が変わってきて、自社でも新しいことに挑戦してみたい
・会社の中で活用できていないものがあるので、新事業で試してみたい
・○○の分野がこれから伸びそうだ

事業の多角化については、「市場(顧客)×商品(事業領域)」のマトリックスというセオリーがあります。

2つの軸について、既存と新規の2つで分類すると2×2の4つのマスができますが、実際には既存、隣接、異種(新規)の3×3のマスの方が良いのではないかと考えます。下の図は紹介する事例に即した内容になります。

新事業立ち上げの例

自分が支援していた会社は、コーヒー豆の焙煎を行っているのですが、元々の販売先は高級ホテルが対象でした。シングルオリジンと言われる、コーヒーの栽培履歴が追えて、高級豆を専門で栽培している農園で取れたものを袋詰めして卸していました。ただ、豆自体は高額ですが、特に商品説明のパッケージは必要なく、汎用性のあるビニール袋を密封してラベルを貼って納品していました。

ただ、今は外食店やカフェが受難の時期で注文が激減しているため、新たな販売先を開拓するための検討に入りました。

事業領域の検討

事業領域を変更するというのは、シングルオリジンの高級コーヒー豆という商品を変更するかどうかということです。少し品質を落として街中のカフェに入れるか、食品スーパーにOEMで卸すかということが考えられますが、その分野は多くの事業者が競争しているところであり、新たに参入しても勝ち目はないだろうという判断になりました。

一般的には、価格を下げるためには取扱量を増やしてボリュームディスカウントを効かせるしかないのですが、そうなると大手にはかなわないのが現実的です。したがって、事業領域の変更は行わないという判断になりました。

 

顧客の検討

今は高級ホテルに限定してコーヒー豆を卸しているのですが、客先を広げるかという検討になります。高級でない通常クラスのホテルや街中のカフェへの販路を広げる、ゴルフ場やスポーツ施設のレストランなどの未知の業界に営業を掛けてみる等の検討をしましたが、新規の営業に割く人員がいないという判断になりました。

そして活路を見出したのが大手スーパーのOEM商品開発でした。その場合は相手先のブランドでの販売になりますが、販売量自体は見込むことができます。過去にもOEM商品は手掛けたことがあり、全く新規の取組でもないというところもポイントになりました。

ただ、商品のパッケージが単に袋詰めすれば良いというものではなくなり、商品棚で自立する立体的な袋、袋自体に商品説明の印刷が必要、パッケージのデザインが必要など、これまでになかった業務が発生するので、自動で袋詰めする設備を購入する必要がありました。

 

当社のサポート内容

当社では本業の売れ行きが落ち込んでいるので状況を打開したいという段階で相談に乗らせていただき、新事業立ち上げに関して計画づくりを行いました。新事業に関われる人員、必要な費用、社内で活用できる経験やノウハウといったところを整理し、新たな分野で市場開拓するという方針を立てています。

計画を策定した後、設備導入に伴う補助金申請のお手伝いも行っています。

コロナウイルスの影響で販売先や仕入先の状況が変わってしまっている場合、新しい事業を検討することが有効です。ご相談いただければ何かしらのサポートができるかもしれませんので、お問い合わせください。