ゼロゼロ融資の借り換え保証(コロナ借換保証)制度が開始されました

2020年3月位から始まった「コロナ禍」、その当時に資金繰りサポートとして無担保、実質無利子で貸し出しを行った「ゼロゼロ融資」は据置期間を最長で5年間置くことができました。そして、その時から3年が経過して多くの事業者にとって元本返済が始まり、手元資金の流出という局面に代わりました。
元本返済が厳しいという事業者をサポートする制度として「コロナ借換保証」が開始されました。

コロナ借換保証について

コロナの影響が長期化していたり、物価が上がったりと、今もコロナの状況が緩和されたとは言い難い状況です。そして、債務の返済に向けて事業を再構築する必要に追われている事業者も多数あります。そのため、当時のゼロゼロ融資を借りた事業者の返済負担軽減と次の資金調達のために、コロナ融資の借り換え保証制度が創設されました。
→2023年7月~2024年2月に民間からのゼロゼロ融資の返済開始が集中してスタートするようです。

一定の要件を満たした中小企業者が、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成した上で、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に借入時の信用保証料を大幅に引き下げるコロナ借換保証が2023年1月10日より開始されました。

コロナ借換保証制度の概要

・保証限度額 1億円
・保証期間 10年間
・据置期間 5年以内
・金利   金融機関所定(優遇ではありません)
・事業者負担の保証料 0.2%等(補助前は0.85%等)
・要件   売上又は利益率が5%以上減少
・メリット
①信用保証協会100%保証の融資は、継続して100%保証での借換が可能なので融資を受けやすい      ②信用保証料が軽減される
・留意点
①経営行動計画書の作成(金融機関と共に作成)
②金融機関の継続的な伴走支援

経営行動計画書について

行政からのフォーマットを見る限り、A3で1枚(A4で2枚)で以下の項目を記載するようになっています。
1.事業者名など
事業者の概要(住所、法人又は代表者名など)、情報提供の合意(信用保証協会や経済産業省にも情報提供を同意)、金融機関の確認日

2.現状認識
事業概要、外部・内部分析(SWOT)と課題、経営・財務状況分析と課題
課題は後で出てくるアクションプランに紐づきますので、数字で表されるものが良いです。

3.財務分析
ローカルベンチマークによる分析
→経済産業省のサイトから、エクセルシートをダウンロードして、財務諸表の数字を

入力すると右図の通りに出来上がります。ダウンロードはこちら

 

4.計画終了時点における将来目標
将来の数値目標、*EBIDA有利子負債率(いずれも、今期、来年度、その後5年後までの目標設定が必要)
*EBIDA有利子負債率=(借入金-現預金)÷(営業利益+減価償却費)

5.具体的なアクションプラン
現状認識で示した「課題」を解決するために、どういうことに取り組んでいくのかを記します。
といっても数値目標がありますので、「売上高の確保」「利益率の改善」など、数字に関係する内容にした方が数字を示しやすいです。

6.収支計画及び返済計画
今期、来年度、その後5年後までの数値計画を示します。
示す項目は、売上高、営業利益、税引後当期純利益、減価償却費、借入金返済額の数値が必須です。

経営行動計画書の作成について

この制度では、金融機関の伴走支援の元で行動計画書を作ることになっています。
ただ、金融機関の方は計画書づくりの助言をすることはできますが、他にも業務がありますので、手取り足取り事業者に対して一つ一つのやり方を教えてくれるものではないでしょう。

少なくともローカルベンチマークの入力は事業者自身が行う必要があるでしょうし、その後の目標と目標達成に向けたアクション(行動)についてもしっかりと考えて結論を出し、金融機関に納得してもらうことが求められます。
なお、ローカルベンチマークは前に紹介したエクセルシートだけでなく、「ミラサポPLUS」というサイトに入力しても作成できます。ただ、ミラサポPLUSはID、パスワードの管理が厳格で、経営者(会社代表者)でないとログインできない事業者が多いので、企業経営者自らが入力することになりそうです。

当方のサポートについて

これまで、ローカルベンチマークの作成は「認定支援機関」のサポートを受けて行うよう案内がされていましたが、経営行動計画書については「金融機関」の伴走支援で行うよう案内が変わっています。
ただ、こういうことがスラスラできる方は少ないのではないかと思います。そして、仮にできたとしても、「より本業に専念したい」と考える事業者が多いと思います。ローカルベンチマークの入力を始め、必要なことをサポートしていきたいと思います。

 

《あとがき》
事業再構築補助金にせっかく通ったものの、思ったように集客できず、早々に事業から撤退したいという相談を受けました。業界のことが分からない、全くの新規事業だとリスクも大きいです。。。
「その事業に進出することのリスク」を第三者から聞いて、十分にリスクを把握してから、事業再構築に臨んでください。