世界的フランチャイズ成功の裏〜ファウンダーという映画を鑑賞して

世界中で100人に1人が食べていると言われる、地球規模のフランチャイズチェーンのマクドナルドに関する映画が上映されていました。鑑賞して感じたことを記してみます。

ファウンダー〜ハンバーガー帝国のヒミツ

この映画は、マクドナルドの創始者として知られているレイ・クロックの成功ストーリーです。フランチャイズビジネスについてのヒントが欲しくて観に行ってきました。

http://thefounder.jp/

フランチャイズを専門にして仕事するようになってから、マクドナルド兄妹が立ち上げたシステムをレイ・クロックが買い取って世界的なチェーンにしたことは理解していました。今回の映画はレイ・クロックとマクドナルド兄弟の争いという点がフォーカスされているようだったので、興味深かったです。

マクドナルド兄妹が立ち上げた店舗システム

自分にとって、子供のころのハンバーガーといえばマクドナルドか、ダイエーに入っていたドムドムバーガーです。したがって、「ハンバーガー=ファストフード(マクドナルド)」という受け止め方です。
しかし、映画にも描かれていたように、ファストフードが広がる前は、ハンバーガーはレストランでのメニューとしてオーダーされていたものです。ウェイターやウェイトレスがいなくて、使い捨ての紙で商品を包んで、ナイフやフォークは使わずに直接かぶりつくというスタイルは従来のレストランとは一線を画して、斬新なスタイルだったようです。

日本だと、従来の寿司屋と回転寿司ではオペレーションが異なってきますが、それと同じような感じだと思います。

徹底した店舗オペレーション

映画では、テニスコートにチョークで厨房機器のレイアウトを書いて、実際にオペレーションしやすいかどうかを検証するシーンが描かれていました。肉を焼いて、パンの上にケチャップ、マスタードを掛けて、ピクルスを2枚載せてという流れで、アルバイトが実際に動いてみて、レイアウトの良しあしを判断するシーンです。
その他にも、フレンチフライを揚げるのに、油の温度は何度が良いのか、肉の焼き方はどのようにすれば効率が良いのか、店舗で徹底的に指導していました。

主人公のレイ・クロックが自動車のヘンリーフォードのやり方(ベルトコンベア方式)と同じだとコメントしていましたが、飲食業オペレーションの大きなイノベーションだと思います。

また、マクドナルドのアイコンとなる黄色のMの文字の原型として「ゴールデン・アーチ」が紹介されています。これは遠くから見てもマクドナルドの店舗だと分かるものであり、当時のマクドナルド兄弟は先見の明があったようです。

レイ・クロックがフランチャイズチェーンという仕組みを作った

マクドナルド兄妹は店舗のオペレーションという点では凄腕でした。ただ、それを世界企業に大きく転換したのはレイ・クロックです。映画では、この店舗を全米にフランチャイズ展開するんだと意気込んでいましたが、マクドナルド兄弟は店舗を広げすぎると品質管理が疎かになると考え、消極的でした。店舗のコストを大きく下げる食材の変更についても、考え方が違って折り合いがつかないシーンがありました。

また、最初は店のオペレーションから出る利益の一部を本部がロイヤルティとしてもらうだけだったので、拡大のための運転資金がままならなかったようです。映画では、店舗の不動産も本部が所有して、加盟店には本部所有の店舗とシステムを提供するという仕組みに転換したことが描かれていました。

本部が不動産も所有するモデル、コンビニも同じモデルです

日本のコンビニエンスストアも本部が店舗を所有していますが、そうなると加盟店は店舗のオーナーではなくなり、業務を委託されるだけの存在になります。
セブンイレブンと同じ時期にコンビニエンスストアのチェーンをスタートした本部があったそうですが、そのチェーンは加盟店の裁量を広く認めていたようで、その分、本部の商品開発力や宣伝展開が弱くて、今は淘汰されたと聞いております。

一方、日本のマクドナルドで賞味期限切れの野菜を提供していたことが明るみになった際、本部が加盟店契約を即刻解除して直営店にしたと報じられていました。店舗を本部が所有しているから、強権を発動できるのでしょう。

ただ、多くのフランチャイズチェーンでは、店舗はフランチャイズ企業が所有し、本部は売上の一定割合をロイヤルティで受け取るだけです。そのため、加盟店独自の部分が残りますし、すぐに閉店させることは困難です。

映画を観て、創業者のマクドナルド兄弟に同情しましたが、ビジネスに並々ならぬ意欲を持つ、レイ・クロックという経営者がいたからこそ、マクドナルドは世界ブランドになったのだと思います。店舗モデルの開発を担った経営者と世界ブランドに仕立てた経営者では役割が違うのだなと改めて思いました。
なお、レイ・クロックは「創業者」を意味するFounderという名刺を持っていたようです。

フランチャイズビジネスに興味をお持ちの方には推奨したい映画でした。フランチャイズ展開のお手伝いについてはご相談ください。

◆自己紹介

私、山下哲博は、これから創業する方、少人数でビジネスをされている方に特化したビジネスコンサルタント(中小企業診断士)です。

・これから創業したい

・ひとりビジネス〜3,4名程度の事業主で相談相手が欲しい

・フランチャイズに加盟してみようかと考えている

こんな方に役立つよう、自分の仕事の中からヒントになるものが有ればよいとブログを書いています。

あとがき

最近、近所の映画館の会員になっているので、いつも900円で鑑賞しています。そのため、一般の映画料金1,800円がすごく割高に感じました。