内部留保に課税することは可能なのか?~2017衆院選の公約に疑問を感じる

ブログに政治のことは書かないようにしているのですが、 今回の選挙で分からない公約があります。企業の内部留保に課税するとのこと。実現できるのでしょうか?

↑BS(貸借対照表)の「利益剰余金」 当期純利益が加算されます。

内部留保は手持ち現金ではない

内部留保というと、企業がガッポリと貯め込んでいる響きがあります。実際のところは、決算時に利益が出た分が、「利益剰余金」という名目で翌期のBS(貸借対照表)に記載されます。ただ、BSに「現金・預金」という項目がありまして、利益剰余金として計上されていても実際の現金残高はそれとはリンクするものではありません。したがって、1千万円の利益剰余金が計上されていても、手持ち現金は1百万円を切っているというケースも大いにあります。

企業経営では現金は真っ先になくなる

実際に会社組織にすると感じるのですが、売上が立っても資金回収は1~2か月遅れになります。そして、多くの場合は費用が1か月遅れで支払ということはなく、現金で即時支払をするケースが案外多いです。

また、高額の備品類は直ぐに費用化できず、減価償却していくことになります。この場合は購入時に支払いを済ませていても費用の多くが翌期以降になるので、その期は利益が出るということが起こりえます。その場合も一旦は内部留保することになります。

「二重課税」の批判もある

企業は利益が出た場合、大まかに3~4割くらいの税金を払っています。税金を払うのを嫌がって、無理に備品類を買ったり接待費を支出したりという会社もあるくらいです。ただ、会社の業績は時勢によって増減もありますので、本来は内部に多少たりとも備えておくべきです。法人税などを払って「利益剰余金」という勘定になっているものに対して未来永劫課税されるとなれば、健全な企業活動を阻害することになってしまいます。

思い付きの政策は勘弁して欲しい

そもそも、利益剰余金に課税するというアイディアについては、企業経営をしている人がブレーンにいれば「おかしい」と思うはずです。以前のマニフェストもそうでしたが、実際に実行ができない政治公約を掲げて選挙に臨むというのはおかしいです。一般のサラリーマンには受けが良いかもしれませんが、リスクを払って起業する人が増えてきている中、水を差すような政策は勘弁して欲しいです。今回の選挙、どういう結果になるかは蓋を開けてみないと分かりませんが、内部留保への課税だけは実現しないことを望みます。

企業経営をしていると、業績が伸び悩んでも、業績が急成長しても「お金」が必要になってきます。資金繰りは企業経営時に必要なのです。新事業展開などで資金調達をお考えであればご協力できますので、お問い合わせください。

◆自己紹介

私、山下哲博は、これから創業する方、少人数でビジネスをされている方に特化したビジネスコンサルタント(中小企業診断士)です。

・これから創業したい

・ひとりビジネス〜3,4名程度の事業主で相談相手が欲しい

・フランチャイズに加盟してみようかと考えている

こんな方に役立つよう、自分の仕事の中からヒントになるものが有ればよいとブログを書いています。

あとがき

スリムなWindows PCを購入し、持ち歩きはそちらをメインにしようと考えています。ただ、Windows10は正直使いづらいです。思った通りに動いてくれるMacの方が原稿書きでもプレゼン作成でもアイディアが湧いてきます。