最近、二人の経営者にお会いしました。二人とも共通しているのは「カネ」がないということでした。資金確保の重要性を改めて感じたところです。
事業の拡大にはカネが必要
事業の基本は、先に投資が必要というのが鉄則です。さほど資金を必要としないビジネスであっても、開業の時にはまとまった資金があった方がスムーズです。それは、売上を上げるために仕入やビジネスの基盤を整える等の支出が伴うからです。そして、支出が先で、売上の入金はその後になるからです。
ケース1:売上が拡大中の会社
その会社は前々期の売上が約5000万円、そして、前期が約9000万円、来期は1億2000万円になろうかという会社です。事業の内容として、当初はサービスの提供、次に仕入れた商品の販売、そして、これからは自社ブランドの製品を作ろうとしています。製品を作るとなると原材料を仕入れて製品を作り、商品を小売店に卸すことになります。更にアパレルですので、百貨店向けに卸すときには消化仕入ですので、売れた分しか入金がありません。
サービスであれば仕入は発生しませんが、商品がからんで仕入が必要になり、製造業になったことで原材料仕入から製造、店頭への卸、実際の売上、精算と入金までの期間が長くなっています。ある意味、お金は手元になくて当然です。
ケース2:新店をオープンした会社
この会社は生活用品の小売店です。もともと1店舗で営業していましたが、1店舗だと十分な収益が取れず苦しいので、資金難の中で無理してもう1店舗出したそうです。しかし、新店舗は苦戦していて、オープンから半年経つのに未だ赤字、店舗オープン時の投資もあって、深刻な資金難に陥っているということでした。
助言を求められたので、「新店を閉めるように」と伝えたところ、凄い反発でした。ただ、手元に資金が無く、金融機関から借りられないのであれば閉めるしかありません。経営者は「あと半年あれば繁盛店になる」と繰り返していましたが、資金が尽きたらゲームオーバーです。
会社の継続には「資金繰り」を常に気にする
どちらの会社にも共通していたのは、事業を損益計算でしか見ていないことでした。もちろん損益は重要ですが、もっと大事なことは手元の現金の管理です。日々の生活でも、出費がかさんだ月は貯金を崩したり、銀行のカードローンで補填してもらったりということがあるはずで、借りる先がなかったら慌てるはずです。
事業の場合、出費の額が日常生活の比ではありません。そして、収支と現金の出入りは別物ですので、収支よりも現金の出入りを重要視するべきです。
資金繰りの予測
会社を経営していれば、3か月先くらいまでは売上の予測ができると思います。日々の売上のある小売や飲食店であれば、前年の同じ月や前月がベースになりますし、サービス業や不動産業など、売上の波が大きいビジネスでも手元の案件や営業先の状況などから売上予測は可能です。
そして、支出は売上よりも確実に予測できるはずです。
今後3か月の売上と費用支払いが分かれば、実際に入金される時期、支払いが必要な時期を明確にすれば、月ごとに実際に入金になるもの、支払いがあるものを入れていけば、資金管理ができます。冒頭にあるのが資金繰り表のイメージです。実際は元本の返済や借入もありますので、そちらを追加する必要があります。
売上の極端な増減があるときは「資金繰り表」を作る事が必須です。是非、経営に取り入れてください。
◆自己紹介
私、山下哲博は、これから創業する方、少人数でビジネスをされている方に特化したビジネスコンサルタント(中小企業診断士)です。
・これから創業したい
・ひとりビジネス〜3,4名程度の事業主で相談相手が欲しい
・フランチャイズに加盟してみようかと考えている
こんな方に役立つよう、自分の仕事の中からヒントになるものが有ればよいとブログを書いています。
あとがき
来月からいよいよクールビズがスタートします。ネクタイが大嫌いな自分にとってはとても嬉しいです。公的機関と関わりのある仕事だとネクタイが必要ですので。