着物を新品で買うよりも、たまの晴れの場でレンタルすればよいという考え方があります。実際、結婚式の時の衣装は夫婦とも全てレンタルで済ませました。ただ、レンタルした着物を持って帰って良いというサービスがあるようですので、ビジネスモデルの観点から記してみます。
駅できものレンタル「え・き・レン」
このサービスを展開しているのは、「きものアパレル化」を提唱されている、株式会社やまとです。全国で着物を扱う店舗を直営展開されている他、インターネットでのweb通販も行っています。そして、事業の一つとして、きものレンタルをやられています。
このレンタルサービスで貸し出している着物は新品で、着用した着物は持ち帰りOKですが、小物や帯は要返却です。レンタル時間は朝の10時から夜の19時半までで、料金は5,000円(税別)〜とリーズナブルな価格帯です。寒い季節だと羽織があった方が良いのですが、そちらもセット料金に含まれているということです。
新しい販売方法の可能性
このサービスの発想について、自分なりに考えてみました。
①着物というモノを売るのではなく、着物でお出かけ体験というコトを売る
普通に生活していると、着物を買いに行くということはまずないと思います。ただ、夏の花火や同窓会、親戚の集まりなど、和装をしてみようかなという機会はあるでしょう。レンタルであれば気楽に利用することができるので、着物を着てみようというきっかけになります。
②インバウンド観光客にとって、体験+記念品になる。
海外からの観光客であれば、着物を買うのではなく、着物を着てみるという体験にお金を払いたいはずです。着物で観光を楽しんで、着物については記念に持ち帰ることができますので、日本の思い出が残ることでしょう。
この着物が他の人も着回したものだと記念品にはなりませんが、新品を貸してもらえるというメリットは大きいでしょう。
③レンタル用着物の原価はそれほど高くない
このレンタルは5,000円〜という値付けです。店頭で販売されている着物の販売価格には流通コストがかかっていますので高い金額になりますが、同社のような大手だと製造から関与できます。5,000円で使用後にお渡ししても損はしないという計算でしょう。
そして、小物などは返却しなくてはならないので、小物なども合わせて購入してもらえれば採算が合うようにしているのでしょう。
④レンタルをきっかけに顧客を作る
若い人が着物を着るきっかけというのはそれほどありません。最初はレンタルで試してもらって、着物の良さに気付き、次はもっと良い着物を買ってもらえるようにするという狙いもあるでしょう。
最初に「お試し」を設定する
サービスでは初回利用に「お試し」価格を設定することが多いです。マッサージなどでは初回利用クーポンをインターネットで印刷できるサイトがありますし、水道管の清掃などでも初回お試し価格のオファーが入ったチラシが入ったりします。
私のような専門家でも、初回無料相談や、公的機関を使った専門家派遣から直接契約に切り替えてもらったりします。
着物を買うということだけでなく、着物を楽しむという観点でレンタルサービスを展開している「え・き・レン」サービスに今後も注目したいです。
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私、山下哲博は資金調達サポートとフランチャイズを専門分野とする小規模事業者のビジネスサポーターです。企業の成長戦略をサポートすることで、地域にビジネスの芽が定着できるようお手伝いしています。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
あとがき
昨日は税理士の先生と野球観戦に行ってきました。野球もさることながら、いろいろと情報交換できて有意義な一日でした。スポーツ観戦は一人で行くことが多いのですが、同じチームを応援する者同士で行くと楽しいことを再認識しました^^