昨日、大阪で「フランチャイズの基本と加盟のステップ」というテーマの講演をしました。今回はいつもと内容を変えて、最初の自己紹介が終わったところで事例の紹介をしました。割とみなさんの興味を引きつけたようで、無料セミナーの割には皆さん真剣に聞いてくれました。何回かに分けて紹介していきます。
ショッピングセンター内に開業予定だったが・・・
フランチャイズ加盟希望者のAさんは、とあるショッピングセンターの店舗候補地を本部から紹介されて、そこでマッサージのフランチャイズ店舗を開業する予定でした。ただ、融資がおりるかどうか自信がなかったので、開発担当者に「融資がおりなかったらフランチャイズ契約を取り消す」という条件付きでフランチャイズの契約をされて、本部に加盟金を支払ったそうです。
しかし、結果は融資がおりませんでした。
本部との泥仕合が始まった
Aさんは開発担当者との口約束していたこともあって、契約担当者に融資が承認されなかったのでフランチャイズ契約を取り消したいと申し出たそうです。しかし、本部の契約担当者はそのようなことは聞いていません。そして、フランチャイズ契約時に特別に何かを合意したという形跡もありません(普通は「覚書」を双方で作成し、契約書の例外になる内容を証拠に残すものですが、そのような書類はありません)。
フランチャイズ契約書には「理由の如何を問わず加盟金は返金に応じない」と書いてありますので、本部担当者は返金に応じません。他の店舗候補地を探すのでそれまで待って欲しいと返答するのですが、Aさんは話が違うと言って引きません。
双方の言い分が食い違ったままで妥協点が見いだせなければ訴訟になるよりないのですが、覚書などがないAさんは明らかに不利です。
フランチャイズ契約は立地が決まってから
店舗の物件を探すのは簡単なことではありません。相場よりも高い家賃で借りてしまうと、家賃は固定でかかってしまうので収益を直接圧迫します。また、店舗周辺の通行量や店舗への入りやすさなどもあって、なかなか希望通りの物件は無いはずです。
ショッピングセンター内の物件は条件に合えば良いですが、デベロッパーの審査が厳しいので、本当に入れるかどうかは確実ではありません。順序として、店舗物件を確定させて、それからフランチャイズ契約をするべきでした。
相談に来られた方は「本部が間違っている」と主張されていましたが、それを立証する証拠がないと厳しいでしょう。フランチャイズ本部の開発担当者は契約をあの手この手で迫りますが、物件が決まるまでは絶対に契約してはいけません。
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私、山下哲博は資金調達サポートとフランチャイズを専門分野とする小規模事業者のビジネスサポーターです。企業の成長戦略をサポートすることで、地域にビジネスの芽が定着できるようお手伝いしています。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
あとがき
今日は経営革新計画の策定お手伝いに行ってきました。経営革新計画は直接補助金が出るわけではありませんが、今後何か申請するときに加点対象になります。さらに、未来の計画を書くということは、どのような未来にしようか考えているということです。成り行きで経営するよりも良い結果が待っていますので、計画策定の効果は大いに期待出来ます。