フランチャイズの相談を受けていると、全く未経験の業種に加盟しようとする方がいます。経験が無くても大丈夫ですか?と聞くと、経験がある人を雇えば良いと言われたことがあります。
業務のブラックボックスを作るのは避けるべき
フランチャイズのオーナーになる際、専門職を雇わないとできない商売があります。多いのは介護など資格がいるビジネス、飲食についても調理が分かっている人が必要です。自分で商売を始めるときには、オーナーが分からない商売をすることはないと思います。オーナーがその業界のことを分かっていて、店舗のオペレーションに責任を持っているから、その商売を始めるというのが普通です。
フランチャイズに加盟するとなると、商売のことは本部が教えてくれると考えがちです。そして、専門家を雇えば良いという発想にもなります。ただ、商売のやり方は教えてもらうにしても、専門家任せで良いとは思いません。
未経験の訪問看護に加盟する方もいました
3年ほどまえに、一般の方で訪問看護のフランチャイズに加盟したいので契約書のチェックをしてほしいと言われました。その方は会社で事務をしていた方で、まとまった貯金があるので、一等地にオフィスを構えなくても良い訪問看護の事業をやりたいということでした。
その時にも、経営者が分からない事業に参入すべきでないとアドバイスしました。また、そのフランチャイズは本部が利用者を集める営業を代行する仕組みになっていて、その場合は売上の10%を支払う契約でした。全体の売上に対するロイヤルティが5%でしたので、本部経由の利用者の場合は売上の15%払うことになっています。
訪問看護の利益率は高いから大丈夫ということでしたが、本部が想定する給料で看護師を雇うことができるかどうかは分かりません。むしろ、オーナーに経験が無い分、看護師を高値づかみするというか、相場より高い給料を払わないと採用できない可能性があります。そうなると、想定していた利益は取れなくなります。
また、訪問看護は事業所に最低2.5人の看護師が必要になります。看護師が一斉に抜けてしまい、後任を確保できなくなったら廃業を余儀なくされます。非常にリスキーに感じられたのでアドバイスしたのが、その方はそのまま加盟され、その後連絡はありません。
私は、フランチャイズ1号店を開業するときはオーナーが責任者になって、店舗が黒字になるまでは最前線で頑張るべきだと思います。オーナー自身が苦労しないと、従業員を教育することはできないし、その商売の勘所が分からないからです。フランチャイズといえど、必ずもうかる仕組みではありません。オーナー自身が誰よりも苦労して、ようやく従業員が付いてきて、チームができていくと考えています。
あとがき
この週末は長野県の蓼科高原に来ています。例年、シーズンになると月1~2回のペースで来るのですが、今年はようやく初の訪問です。