宿泊施設の経営指標は、稼働率と客室単価で判断する〜巨額の投資を最短で回収するために

自分は2010年から2012年まで大学院で経営のことを勉強しました。修士論文で書いたのは、「日本旅館のRevPER(稼働率×平均客室単価)を高める取り組み」についてでした。最近、アパホテルチェーンがRevPERを高める取り組みを積極的にやられているようですので、記してみます。

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↑研修施設の講師用の部屋です。少し広いのですが、部屋の温度調整などが出来ないので、時期によっては大変なこともあります。

RevPERとは

RevPER(レブパー)の計算式は、稼働率×平均客室単価になります。客室単価を安く設定すれば、いつも満員のホテルになります。しかし、客室が安いとRevPERは低いままです。RevPERを上げるためには、客室の客単価を「客離れが起こるギリギリのところ」に高く設定する必要があるのです。

 

アパホテルの取り組み

訪日外国人が増える中、全国でホテル不足が続いています。そんな中、民泊に対するルール作りが進んでいますが、泊まる方からすれば、できればホテルに泊まりたいと思っています。

アパホテルは価格設定を柔軟に行い、最高値だと3万円前後の値段を付けるようです。アパホテルは元々ビジネスホテルチェーンとして全国展開してきましたので、帝国ホテルやオークラなみの価格設定がされていることで話題になっています。

もっとも、海外から来るビジネスマンにとっては、海外のホテル価格を考えると出せる価格です。日本経済のデフレが続いている間に、米国などでは物価がどんどん上がっている上、安心して宿泊できる施設は限られるので、ホテルの値段が上昇しているからです。東京や大阪の便利な場所であれば、3万円でも予約で埋まるでしょう。

 

宿泊施設の投資回収

宿泊施設を開業するには最初に莫大な資金が必要になります。土地を取得して建物を作って、1泊ごとの宿泊料金で少しずつ回収していくので、少しでも客室価格を高く、稼働率を高くというのは自然のことでしょう。また、東日本大震災の時には稼働率が低迷したように、何か環境変化があると敏感に客離れが起こる業界でもありますので、稼げるときに稼ぐべきでしょう。
アパホテルのように短期間で施設数を増やしているチェーンにとっては、1日も早い投資回収が求められます。RevPERという分かりやすい指標をもって、施設の投資回収を早めるのは、他のサービス業施設にも共通する管理方法でしょう。

なお、日経MJにアパホテル社長のコメントが掲載されていました。「稼働率が早くから100%に達してしまう支配人は下手。ぎりぎり我慢して、価格を最高値にして稼働率を100%にできる支配人こそが優秀だ」

出張であちこち行く人にとって、アパホテルの価格設定に違和感を感じる人もいるかもしれませんが、土地・建物に巨額の投資を行うホテルビジネスはリスクに弱い要素もありますので、稼げるときに稼ぐというのは経営のやり方としてありだと考えています。

自分は早めに適正な価格で宿を押さえるようにしますし、周辺を含めて宿を探します。どうしても宿が取れないようであれば、遅くても帰京する工程で動きます。もっとも、前泊の宿については困ってしまいますが。そういう出張が発生しないことを願います。

 

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私、山下哲博は店舗ビジネスの発展支援と資金調達サポートを強みとする、小規模事業者向けのビジネスコンサルタントです。難しいことを分かりやすく、経営者の右腕になるべく帆走型のサポートを行っています。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

あとがき

今日から東大和市にある研修施設に宿泊します。今週は2泊、来週は3泊です。家族には迷惑をかけてしまいますが、往復の時間がないのと、やることがないので考え事には最適です。