補助金採択後にすると良いこと→節税策について ~経営力向上計画、先端設備導入計画の申請~

助金事業に採択されたら、補助金を使って設備投資を行います。設備投資をすると固定資産税がかかりますし、補助金自体が「営業外収益」になりますので税金の対象です。

補助金が採択されて良かったで終わりにせず、その後にひと手間かけて手続きすることを推奨します。

 

補助金は課税対象

補助金をいただくと「営業外収益」になりますので、税引前当期純利益がかさ上げになります。圧縮記帳という処理を行えば、設備投資と補助金が相殺され、補助金が出なかった分を減価償却してくことになります。減価償却ということは、一度に費用にすることはできないのが原則です。

こうした、補助金をもらった後の税金支払いについて負担を軽減するのが経営力向上計画や先端設備導入計画の申請になります。

経営力向上計画のメリット

経営力向上計画を申請することで、税制優遇と金融支援のメリットがあります。
経営力向上計画の案内サイト

(税制優遇:法人税)

①投資した設備の一括償却(費用化)または、税額の10%控除

②所得拡大促進税制の上乗せ

①によって、圧縮記帳した後の残り分を一括して費用化するか、減価償却時に10%税額控除を受けられます。

②は従業員の給与を増加させると、増加分の一部が法人税から控除される制度です。補助金を使って設備投資をすれば、売上拡大などが見込めますので、従業員(パートでもOK)を増やすことは十分に想定されます。給与総額の増加分に対して、通常は15%控除の申請が可能ですが、経営力向上計画が認定されれば、25%に控除割合が拡大します。

 

ケーススタディ

・設備投資 1,500万円 補助率2/3 →補助金1,000万円

補助金については「圧縮記帳」で設備投資と相殺し、営業外収益とならないよう処理

設備500万円については、耐用年数に応じて減価償却していく

・経営力向上計画を申請することで、設備残り分500万円を一括償却

または、500万円を減価償却する際に10%の税額免除

(金融支援)

金融支援としては、信用保証協会の「別枠保証」を受けられるようになります。あまりにも財務状況がよろしくない状況では別枠自体が認められない可能性がありますが、経営力向上計画の認定を受ければ信用保証協会から融資の増枠を認められるというケースはあります。

予め金融機関に別枠保証によって新規事業分の融資が受けられるかどうかを確認する必要はありますが、借入を行うことで融資が実行され、補助金事業をスムーズに実行できるようになる可能性はあります。

 

先端設備導入計画のメリット

先端設備導入計画を申請することで、固定資産税の減免を受けられるようになります。
先端設備導入計画の案内サイト

前述の経営力向上計画は法人税を節約するもので、法人税は事業そのものが赤字であれば、均等割以外の税金がかからないのですが、固定資産税については、赤字でも支払う必要がありますので、メリットがあります。

 

ケーススタディ

1,000万円の設備、5年償却、固定資産税率1.4%の場合であれば、3年間の固定資産税29.4万円が控除される試算になります。

 

計画の申請について

経営力向上計画という名称であっても、趣旨は生産性向上に直結する設備を導入することに対して税制優遇を受けられることですので、最新の設備を導入していることの証明を受ける必要があります。設備メーカーに依頼して工業会証明書を取り寄せて、計画申請の際に一緒に提出します。

従来は書面を作って申請でしたが、今はGビズIDプライムを作成して、webから申請することが可能です。

 

先端設備導入計画は名称の通りで、先端設備を導入する計画ですので、設備導入を申請して設備に課される固定資産税を3年間減免してもらう仕組みです。その他に、認定支援機関の確認書が必要になり、市区町村あてに申請書を提出して認定してもらいます。

計画の作成について

計画の作成は申請書の例がweb上に掲載されているので、それを見ながら作成すればOKだと思いますが、かなり分かりづらいです。経営力向上計画は自分でもできますが、先端設備導入計画は認定支援機関の確認書が必要になります。最初からセットで認定支援機関に依頼するのが良いかもしれません。

当方では、補助金申請から関わっていればセットで8万円で作成支援を行っています。
補助金申請に関わっていなければ、今後の計画作成などがありますので、セットで15万円になります。ご興味ありましたらお問い合わせください。

→補助金については以前の記事を参照ください。
2021年の中小企業向け補助金の整理
事業再構築補助金 通りやすい申請書のポイント

 

あとがき

日曜日に晴天の中でゴルフをしてきました。10月と思えない暑さでしたが、スタート時は涼しくて快適でした。段々と日没時間が早くなりますが、10月から12月上旬くらいまでが一番良いシーズンです。