どのフランチャイズが儲かる?サービス業のFCを検討しよう(FC加盟者向け基礎知識⑤)

FCの中で最もバラエティに富んでいるのがサービス業のFCです。サービス業については、個人向けのサービス、法人向けのサービスという分類もできますし、無店舗型や兼業型という分類もできます。今回はFCの3分類(小売・飲食・サービス)の一つ、サービス業FCの状況について解説します。

 

FC加盟者向け基礎知識:⑤サービス業FC

FCの統計として一般的な、日本フランチャイズチェーンが公表している「フランチャイズチェーン統計調査」の最新の動向を見てみましょう。

サービス業FCの分類と売上高

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サービス業FCの売上高の伸びは前年比114.4%と、FC全体の105.6%と比較して非常に大きくなっています。特に大きいのが、「住宅建築・リフォーム・ビルメンテナンス」の132.7%であり、それに続くのが「クリーンサービス・クリーニング」の125.1%となっています。

逆に、前年割れしているのは「自動車整備業」で99.1%であり、その他は全て前年の売上をクリアしている状況です。自動車については、「若者の車離れ」が言われていますし、消費税が8%になってから新車販売も低迷していますので、自動車整備業の売上減少は構造的なものであり、しばらくは需要低迷が続くのではないかと思われます。

サービス業FCの意味

サービス業については、商品そのものに特徴があります。

同時に発生 サービスの提供と利用が同時
品質が安定しない サービスの品質は必ずしも一定でない(提供する人によって上下にぶれる)
形がない 予め品定めができない
貯められない 在庫として確保できない

 

例えば、マッサージを受けるにしても、実際に利用してみないとその人のマッサージに満足できるか、満足できないかは分かりません。学習塾でも同じで、実際に授業を受けてみないと分からないという部分があります。

フランチャイズの特質として「ブランド」と「標準化」がありますので、利用者は予め不安を取り除くことができます。すなわち、「○○なら有名だし、あちこちにあるから間違いないだろう」「引っ越す前に○○を利用したので、この街でも○○を利用してみよう」と、利用者への信用提供の意味でフランチャイズにはメリットがあるのです。

確かに、景気が上向いて住宅市場の需要が上向き、クリーニングに支出を回せる余裕が出てきたという面はありますが、フランチャイズの持つサービス品質に対する安心感という部分で消費者に受け入れられている部分が大きいのでしょう。

 

もちろん、フランチャイズ化していることで、個人でやっているよりは規模のメリットが働きます。チェーン全体で特定の機械を導入することで調達コストが下がります。現場でのノウハウをチェーン全体で共有することで、サービス品質が向上することが期待できます。

また、事業環境が大きく変わったときに、本部からの指導を受けられる点も大きなメリットになるでしょう(中には、加盟後にあまり経営指導をしないFCもありますので、加盟後にどのような指導をしてくれるのかは確認すべきでしょう)。

1店舗ごと売上の考察

そして、業態ごとの「1店舗ごと売上」を比較検討してみましょう。

サービス、1店舗ごと

 

このように、1店舗ごとの売上は業種によってバラバラです。これは、同じサービスであっても、設備によって稼ぐか、人によるサービスで稼ぐかで変わって来る部分もありますし、兼業として展開しているケースもあります。

例えば、レジャーサービスであれば最初に初期投資が必要になります。レジャーとして楽しんでもらうための場所や機器を揃えなくてはなりません。そのため、1店舗ごとの売上は投資した分大きくなります。コピーサービス等も同様です。

逆に、学習塾であれば、最低限の教室を用意すれば、あとは勉強を教える先生がいれば経営が成り立ちます。ただ、サービスの量産が効かないので、1店舗ごとの売上は小さくなります。

そして、自動車整備業は兼業のFCになります。加盟しているのは元々自動車整備業やガソリンスタンドなど本業がある事業者であり、フランチャイズの看板を掲げることで一般消費者との接点を作ろうと加盟するのです。自動車の整備こそ、素人ではサービス品質を判断できない部分ですので、フランチャイズのブランドとサービスの標準化の効果は大きいのです。

まとめ

・サービス業FC個人向け、法人向け、兼業型、無店舗型などバラエティに富んでいます。

・サービス業の一般的な特性として、品質が安定しない、形がない等、一見さんが利用しづらい部分があります。フランチャイズ加盟によって、ブランド力やマニュアルなどの指導力によって、消費者に選ばれる要因になりえます。

・1店舗ごとの売上は業種によってバラバラです。初期投資と回収の観点から事業性を判断しましょう。

 

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

(編集後記)

今朝、日経MJで「チェーン店はもう古い」と飲食店の開業支援の記事が出ていました。飲食店は流行の波が早いので、昔から「オープン支援」というパッケージがありました。経験豊かなオーナーにとっては、新しい業態を素早く立ち上げることができるのですが、経営そのものについて経験が浅い方が手を出すと、「立ち上げて終わり」ということにもなりかねません。

フランチャイズも同じなのですが、事業立ち上げに関して何か契約をする際には十分に検討しましょう。専門家によるセカンドオピニオンも有効です。