過疎地での飲食店経営の創業計画

先日、起業を検討されている方の創業計画を見てコメントする機会がありました。過疎化が進んでいる集落に飲食店を開業したいという内容でした。他に飲食店の無い地域なので、自分のお店がオンリーワンの存在になるという狙いでしたが、果たしてそううまくいくでしょうか?

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過疎集落の飲食店のターゲットは?

過疎集落というと、60歳以上の方が住民の大半のように感じます。近くの飲食店までは車で最低20分と計画書にありましたので、相当不便なところのようです。こういう地域に飲食店を出すとすれば、どのようなお店が向いているのでしょうか?

普通に考えれば、利用者は近隣の住民ですので、いつも同じ顔です。毎日食べても飽きがこなくて、営業のバランスが取れている食事になると思いますが、正直、そのような食事には面白みがありません。地方の方はどこに行くにも車ですので、そのお店に行くだけでなく、コンビニやスーパーで何か買ってきて食べるという選択肢もあります。夜の飲酒需要が見込めるとありましたが、高齢者の方が集まってお酒を飲む機会がそんなにあるでしょうか?

 

集客施設の有無は?

過疎地域には他所の人が立ち入ることはあまりありません。ただ、近くに日帰り温泉があるなど、他所の人を引きつける施設があれば、道すがらにドライブに来た人が寄ってくれるかもしれません。それにしても、「来ればラッキー」位の確率でしか無く、過疎地の中の飲食店は集落に住んでいる人達に徹底的に愛されるお店にしていかないとならないでしょう。

 

過疎地で飲食店が可能か?

簡単にシミュレーションしてみます。
過疎地の集落の徒歩圏に1000人が住んでいたとして、全住民の1割にあたる100人が月に1回利用してくれたとすれば、月の利用客は100人です。1日平均は3〜4人にしかなりません。これでは飲食店は成り立ちません。これに追加して、月に10回利用してくれる方が10人できたとすれば、プラス100名で合計200名です。これでも飲食店の経営は成り立たないでしょう。
ほぼ毎日使ってくれる人が20人できて、20人×月20回で月400回の利用を見込み、月に1回程度来てくれる人が100人いれば、1ヶ月の利用人数が延べ500人になります。ここまでいけば何とかなりそうです。

商売でやる以上、自分一人が食べていくためには最低1万円は利益が出ていないと続きません。1万円の利益を出すために、利益率25%とすると、売上4万円です。客単価をいくらに設定するかは、お酒をメインにするか、定食などの食べ物をメインにするかで変わりますが、お酒をメインにしても客単価2000円で1日に20名のお客様が必要です。周辺人口の極端に少ない過疎地では飲食店を経営するのは無理そうですね。

 

今回のビジネスプランでは、周辺に飲食店がないから自分が店を出せばオンリーワンになることを強調されていました。そして、過疎地にアジアンテイストのカジュアルなバーをオープンさせたいとも。
ただ、過疎地でアジアンテイストのバーのニーズがどれだけあるでしょうか?そういった食事を楽しむのは、他にも飲食店がある地域で、たまには変わった食事をしたいというニーズがあるからだと思います。

どんなビジネスでも集客が見込めなければ続きません。事業計画を立てる際には、どの位集客できるかは慎重に見積もって計算してください。

 

あとがき

明日からシルバーウィーク。私は山ごもりに入ります。本を3冊と雑誌1冊、キンドル端末もありますので、退屈することはないと思います。