10月20日に大阪で「フランチャイズの基本と加盟のステップ」というテーマの講演をしました。講演の中で事例を紹介したらとても受けが良かったので、何回かに分けて事例を紹介していきます。
お金の重要性
創業すると、手元の資金が絶えず気になるようになります。それは、何をするにも「お金が先に出ていくから」です。1年間を通して利益が出ていても、お金がないなという焦りを感じる場面があるでしょう。本当にこの月に入金があるのかハラハラすることもあります。
「黒字倒産」という言葉があります。会社の決算時に「赤字決算」になったとしても、すぐに倒産することはありません。対外的には良くありませんが、新事業に取り組んでいたり、何か理由があれば深く突っ込まれることはありません。しかし、払えるお金が手元になくなってしまい、支払いが滞ってしまえば取引先の信用を失ってしまい、最終的に事業を継続することが難しくなってしまいます。
経営者になるということ
フランチャイズに加盟すると、商売のノウハウを教えてくれて、店舗オープンを手伝ってくれて、すぐにでも事業ができそうな錯覚に陥ります。しかし、フランチャイズ本部が教えてくれない盲点があります。それは、従業員を採用して教育することと、資金を確保することです。
この2つが経営者と店長の大きな違いなのです。
資金を確保しないと・・・
先日のセミナーでは、施設オープンから半年で経営が行き詰まった介護FCオーナーの事例を紹介しました。
経営が行き詰まるまでのプロセスは以下の通りです。
・○○年12月 会社を退職、会社を設立
(当初は翌年5月の施設オープンを予定)
・実際は、3月に物件を契約、内装工事に着手。4月中にオープンの申請をする予定が、開所する地域の自治体が4月は新規開所を受け付けず、5月に申請し、7月に施設オープンが決定(介護業界は介護保険からの入金が遅いので、7月の売上は9月に入金される)
・オーナーが営業に熱心でなく、利用者の確保は低迷。
・9月の段階で自己資金がつきる→親戚からの借金で頑張ったが、12月に経営破綻
資金が尽きてしまった、ポイント
・売上の入金までにかかる期間を十分に考えていなかった
→介護は行政から認可されないとオープンできない。売上があっても、実際に入金されるのは売上の2カ月後。
・オーナーの生活費を十分に確保していなかった
→結果として事業資金からオーナー生活費を捻出することになり、事業資金が予測よりも早くなくなった。
売上が当初の予定よりも低迷していたという事実もありますが、元々初回の売上入金が9月になりますので、9月に資金が尽きたというのは、資金シミュレーションのミス以外の何者でもありません。
独立された方は介護系の資格をお持ちで、サラリーマン時代は責任あるポストについていた方でした。しかし、ヒトを使って、お金を確保してという点については十分に分かっていませんでした。
フランチャイズ開業で心がけること
フランチャイズでなく、独力で開業すれば、そういったことは自分で考えて先の手を打っていたことでしょう。しかし、フランチャイズ本部から「売上予測」「資金シミュレーション」を受け取っていたことで、当初の予定よりオープンが2ヶ月遅くなったとか、想定通りの集客ができていないということに対するレスポンスが鈍かったのかもしれません。
資金計画がないと、そもそも行き当たりばったりになってしまいますので、絶対に作らないといけません。また、資金計画を作った場合も、計画どおりに進捗しているか、確認してください。そして、予定よりも売上が上がらない、費用がかかったということは発生しうることですので、資金には十分に余裕をもって確保してください。
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私、山下哲博は資金調達サポートとフランチャイズを専門分野とする小規模事業者のビジネスサポーターです。企業の成長戦略をサポートすることで、地域にビジネスの芽が定着できるようお手伝いしています。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
あとがき
今日はポカポカ陽気。午前中は自転車、午後はスポーツ観戦と充実した一日でした。明日も自転車に乗る予定です。