スパルタ研修の是非〜気合いで従業員が育つものではない

本日の日経MJに、「ブラック決別の時」という記事中に、王将フードがスパルタ研修を2013年で止めたという内容がありました。かつて、自分がいた会社でも何人か脱落していくスパルタ研修がありました。その時に感じたことを記してみます。

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スパルタ研修だと感じた時

自分が中途で入った会社には「営業10箇条」を大声で絶叫する研修がありました。前の日に家で完全に覚えてきているのですが、大勢の審査役の研修担当がいる中で、腹の底から声を出さないとクリアすることができません。6人チームで誰か1人でも残ったら連帯責任を取らされる仕組みですので、最後の方は周りからプレッシャーをかけられていきます。

自分の場合は、大声で絶叫するのが苦手で、声を出す方に気を取られて、途中で忘れてしまいます。そのため、その研修では最後までクリアできなかった「落ちこぼれ組」に入りました。たかが研修ですが、自分にとっては、その会社にいた5年間、ずっとトラウマでした。

 

スパルタ研修が成り立つ前提

その会社はコンスタントに毎月120人を前後を採用していました。全社の人数が2,000人前後でしたが、社員の数は増えていきません。採用された数と同じだけ退職する人がいるからです。早い人は研修の最中に辞めてしまいますし、試用期間が終わった時点で辞める人もいます。また、現場配属になって厳しいノルマ営業を苦にして退職していく人もいます。

ただ、常に新しい人が中途で入ってくるので「代わりがいる」状態です。だからこそ、スパルタ研修をやっても、ノルマでガンガン責め立てても成り立つ仕組みでした。

 

社員に厳しいことは企業のメリットになるのか?

自分の場合は、入社3か月たつ時点で、「よくやっている」ということでセクションリーダーに抜擢してもらいました。しかし、給料については、役付きに抜擢されたのに月5万円下がりました。本部は収益を上げるセクションではないというのが理由です。仕方ないので、住まいのグレードを下げて車を売り払って、生活レベルを下げることで対応しました。

ただ、社員に一方的に犠牲を強いることには、今でも疑問を感じています。試用期間が終わったら給料を一方的に下げるというのは、雇用道徳に反しています。また、試用期間が終わったとたん、現場に配属されて、過酷なノルマ営業に耐えきれずに辞めていく人も沢山いました。自分の場合は現場に飛ばされなくて良かったという安堵感で、給料ダウンを受け入れてしまいました。

 

スパルタ研修は、企業が従業員を育てていくことを放棄しているとしか考えられません。ブラック企業と批判されている会社においては、管理職の方が、「俺の時はもっと厳しかった」という思いで続けているのだと思いますが、従業員は限りのある資源で、手を掛けて育てていかないと光らないのだと考え直して欲しいと感じます。

 

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私、山下哲博は店舗ビジネスの発展支援と資金調達サポートを強みとする、小規模事業者向けのビジネスコンサルタントです。難しいことを分かりやすく、経営者の右腕になるべく帆走型のサポートを行っています。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

あとがき

今日は本屋さん周りのフィールドワーク。体調不良の中、約2万歩歩きました。自己管理できなかった罰だと思い、何とか踏ん張りました。